HSKの試験対策を始めると、「過去問は何年分解けばいい?」「一度解いた問題はもう一度やるべき?」「いつから時間を測ればいい?」と、過去問の使い方に迷うことがあります。
この記事では、実際にHSKを受験した経験をもとに、過去問は何年分解けばよいのか、解き直しはどうするのか、時間配分の練習にはどう使うのかを紹介します。
この記事の3行まとめ(AI要約)
- 公式過去問集は各級5回分が収録されており、冊数を増やすより最新版1冊を2〜3周するのが効率的。周回数ではなく、繰り返し間違えるところの原因を拾うことが目的になる。
- 復習でいちばん見落としやすいのは「正解した問題」で、根拠を持って選べた正解と、二択の勘や偶然による正解を切り分け、似た問題でも答えられる状態になっているかを確認する。
- 時間を測る目的は本番慣れだけでなく、どこで時間を使っているかを知ることにあり、1周目は実力把握、2周目以降は理解、直前期は通し解きと役割を分けると理解とスピードの両方を確認できる。
HSKの過去問は何年分解く?最新版1冊を2〜3周

HSKの過去問を探していると、何年分も解いたほうが安心なのではないかと思うかもしれません。しかし、私の場合は何冊も買い集めることはせず、その時点で販売されていた公式過去問集の最新版を1冊購入しました。
1冊に5回分の過去問が収録されているため、まずは5回分をすべて解き、その後、それぞれ2〜3周していました。
5回分を1周だけして次の問題集に進む方法、5回分を2〜3周して理解できていないところを潰す方法、何冊もの過去問集を買って次々と新しい問題を解く方法があります。
新しい問題をたくさん解けば、初見問題への対応力を確認できるメリットがあります。一方で、問題数を増やすことに意識が向くと、「なぜ間違えたのか」を考えないまま次へ進んでしまうこともあります。
反対に、同じ過去問を繰り返す方法にも弱点はあります。一度見た問題なので、2周目以降は答えそのものを覚えてしまう可能性があるからです。そのため、「前回より点数が上がったから実力がついた」と単純に判断することはできません。
2周目以降で見るべきなのは点数よりも、「なぜこの答えになるのかを説明できるようになったか」だと思います。
何年分を解くかに絶対的な正解はありません。ただ、私自身の経験からおすすめするなら、まずは公式の過去問集1冊に収録されている問題をしっかり使い切ることです。
5回分を解けば、自分が繰り返し間違えるところも少しずつ見えてきます。語彙が足りないのか、文章を読むのが遅いのか、リスニングで特定の表現を聞き取れていないのか。新しい問題へ進む前に、今ある問題から自分の弱点を拾うことが大切です。
HSK過去問の解き直しタイミングは?正解した問題も見直し
過去問の復習というと、間違えた問題を中心に見直す人が多いと思います。私も最初はそうでした。
答え合わせをして、間違っていた問題や分からなかった単語を確認する。この方法自体が間違っているわけではありません。ただ、受験を終えた今振り返ると、もう少し丁寧に確認すればよかったと思うのが「正解した問題」です。
当時は、○がつけば「できた問題」として扱っていました。しかし、正解にもいくつか種類があります。
一つ目は、問題の内容を理解し、根拠を持って答えを選べた正解です。二つ目は、二択まで絞れたものの、最後は感覚で選んだ正解。三つ目は、分からなかったものの偶然選んだ答えが合っていた正解です。
採点すれば、すべて同じ○です。しかし、中国語の理解度はまったく違います。
ここが、私が過去問を使っていて見落としていたところでした。
たまたま正解した問題を「理解できている」と判断してしまうと、本番で少し形を変えて出題されたときに対応できない可能性があります。正解したことではなく、もう一度似た問題が出ても正解できる状態になっているかを見る必要があります。
たとえば読解なら、「本文のどの部分を根拠に答えを選んだのか」「ほかの選択肢はなぜ違うのか」「文章の構造を理解できているか」まで確認します。
語彙問題なら、正解の単語だけ覚えるのではなく、前後にどのような言葉が置かれているかを見る。リスニングなら、答えが合っていても聞き取れなかった一文があれば音声と文章を確認する。このように復習すれば、一問から得られるものが増えていきます。
解き直すタイミングも、一度にすべて覚えようとしなくて構いません。答え合わせの直後に理解できなかった部分を確認し、少し時間を空けてもう一度解く。そして試験前には、何度も迷った問題を中心に確認する。このように段階を分けたほうが、自分の理解度も確認しやすくなります。
HSK過去問で時間配分を練習する|「解ける」と「時間内に解ける」は違う

過去問には、知識を確認するだけでなく、本番の時間感覚を身につけられるメリットもあります。
HSK5級は、聴力・読解・作文で構成され、現在公式サイトで案内されている試験時間は全体で約135分です。読解は45分、作文は40分とされているため、問題を理解できるだけでなく、決められた時間の中で処理する力も必要になります。
ここで注意したいのは、最初から「速く解くこと」だけを目標にしないことです。
過去問を初めて解いた段階では、時間がかかる原因そのものを知る必要があります。
たとえば、知らない単語が多くて文章を何度も読み返している場合。内容は分かるものの一文ずつ日本語に訳していて時間がかかる場合。本文は理解できているのに選択肢で迷い続けている場合。この3つは同じ「時間が足りない」という結果でも、必要な対策は違います。
一つ目なら語彙を増やす必要がありますし、二つ目なら中国語を中国語の語順のまま読む練習が必要です。三つ目なら、本文から答えの根拠を探す練習が必要かもしれません。
時間を測るメリットは、単に本番に慣れることではありません。「自分はどこで時間を使っているのか」を見つけられることにもあります。
一方、時間を気にしすぎると、分からなかった問題を十分に考えないまま進む癖がつくデメリットもあります。
そのため、過去問を何周かするのであれば、それぞれに役割を持たせる方法がおすすめです。最初は現在の実力を知る。次は分からなかった部分を理解する。そして本番が近づいたら、試験時間を意識して通して解く。この順番なら、理解とスピードの両方を確認できます。
HSKの公式過去問集とは?本番を知るために使う
HSK日本実施委員会の公式サイトでは、試験対策教材として「公式過去問集」が案内されています。日本語版の公式過去問集で、中国語の和訳や解説があり、聴力試験の音声も利用できます。
過去問のよさは、本番でどのような形式の問題が出るのかを具体的に知れることです。単語帳を何周しても、試験全体の流れは分かりません。文法書を読んでも、時間内にどのくらいのスピードで問題を処理すればよいのかはつかみにくいものです。
たとえば、語彙そのものが足りないなら単語帳、作文が苦手なら作文練習、本番形式を経験したいなら公式過去問集というように、教材にはそれぞれ役割があります。
過去問のメリットは本番に近い形で実力を確認できることですが、デメリットは、苦手な文法や語彙を一から体系的に教えてくれる教材ではないことです。
そのため、過去問だけですべてを勉強しようとするより、「過去問で弱点を見つけ、必要な教材に戻る」という使い方が合っていると思います。
HSKの過去問は無料で入手できる?
HSKの試験サービスサイトであるChinese Test Service(chinesetest.cn)の資源センターには、HSK各級の真題と解答をダウンロードできるページがあります。確認できる範囲では、1〜6級の問題と解答が各1セットずつ用意され、聴力音声も公開されています。
そのため、「HSKがどのような試験なのか知りたい」「まず一度問題を解いて自分のレベルを確認したい」という段階なら、公式サイトの無料問題から始める方法もあります。
無料問題のメリットは、教材を購入する前に実際の問題に触れられることです。一方、市販の日本語版公式過去問集には和訳や解説があるため、一人で復習まで進めたい場合にはこちらのほうが使いやすいでしょう。
たとえば、受験級を迷っているなら無料問題でレベルを確認する。本格的に受験勉強を始めるなら公式過去問集を用意する。苦手な分野が分かったら単語帳や作文教材を追加する。このように目的によって使い分ければ、最初から何冊も教材をそろえる必要はありません。
HSKの過去問に関するよくある質問
HSKの過去問は何年分解けばよいですか?
公式過去問集は各級5回分が収録されているため、まずは最新版1冊を2〜3周し、繰り返し間違えるところを潰すのが基本です。冊数を増やすより、1冊を使い切ることを優先しましょう。
HSKの過去問は無料で入手できますか?
試験サービスサイトChinese Test Service(chinesetest.cn)の資源センターで、1〜6級の真題と解答が各1セットずつ、聴力音声とあわせて公開されています。和訳や解説まで必要な場合は、日本語版の公式過去問集が向いています。
過去問で時間を測るのはいつからがよいですか?
1周目は実力と時間がかかる原因の把握に使い、2周目以降で理解を固めるのがおすすめです。本番が近づいてから試験時間どおりに通して解けば、理解とスピードの両方を確認できます。
まとめ
私自身は公式過去問集の5回分をそれぞれ2〜3周しましたが、今振り返ると、周回数を増やすこと以上に「正解した問題をどこまで理解しているか」を確認すればよかったと思っています。
失敗だったのは、正解をゴールにしてしまったことです。正解した瞬間はうれしいですし、点数が上がれば勉強の成果も感じられます。しかし、本番で必要なのは、以前見た問題の答えを覚えていることではありません。
何年分解いたか、何周したかは、勉強量を測るひとつの目安にすぎません。大切なのは、解いた問題から何を持ち帰るかです。一冊を丁寧に使い、自分でも気づいていなかった弱点を一つずつ減らしていくことが、本番で安定して点を取ることにつながります。


