私は以前、遠心分離機の輸出営業を担当し、中国の販売代理店(以下、販売店)を集めて現地で代理店会議を開催していました。皆さんは、代理店会議でどんなことをするかイメージできますか?
今回は、上海と北京で計3回開催した代理店会議について、実際の経験を振り返ります。
苦労もありましたが、海外の人たちと一緒に仕事をする面白さを感じた経験でもありました。
この記事の3行まとめ(AI要約)
- 中国での代理店会議は新製品の説明と実機トレーニングが中心で、販売店の営業担当者・技術者に製品への理解を深めてもらう場だった。
- 回を重ねるごとに販売戦略の共有や販売店同士の意見交換へと内容を広げ、北京ではフィッシュボーンチャートを使ったワークショップも実施した。
- 現地販売店と進める事前準備・中国語でのコミュニケーション・臨機応変な対応力が大切で、飛行機が欠航した際は夜行列車で北京へ向かった。
中国で初めて代理店会議を開催したのは入社半年後

初めて中国で代理店会議を開催したのは、中途入社して約半年が経った頃のことです。
上海で開催された展示会の終了後に、新製品説明会を行うことになりました。
私にとっては初めての中国出張でもあり、慣れないことばかりでした。
会場には上海市内のホテルの大会議室を利用しました。北京・上海・広州の販売店3社から、営業担当者や技術者を中心に約15人が集まりました。自社からも役員や開発部門の担当者など約7人が参加しており、進行だけでなく社内への気配りも必要でした。
紹介したのは、新型の遠心分離機です。まず中国語で製品の機能や特徴を説明し、その後は実機を使った技術トレーニングを行いました。遠心分離機を分解してモーターを交換したり、内部構造を確認したりと、内容はかなり実践的でした。開発担当者が技術的な説明を行う場面では、私が中国語への通訳を担当しました。
その場で販売店から質問を受け、顧客先で不具合が起きたときにも対応できるよう、一つひとつ確認してもらいました。単なる新製品のお披露目ではなく、営業担当者には製品の特徴を、技術者には実際の対応方法を理解してもらうための会議でした。
代理店会議の準備では販売店との連携が欠かせなかった
代理店会議を開催するには、事前の準備が欠かせません。
会場となるホテルの会議室探しや見積もりの取得、会食場所の手配などは、現地の販売店に協力してもらいました。また、宿泊費と会食費は自社で負担し、会場までの交通費は各販売店に負担してもらう形にしました。
こうした費用面の取り決めも、事前に確認しておく必要があります。
中国語での製品説明にも準備が必要でした。実は入社2か月後、別の地域で同じような説明会を経験しましたが、専門用語や質問の内容がうまく聞き取れず、かなり苦労しました。
その反省から、上海出張前には中国語の台本を作成し、中国語ネイティブの友人にプレゼンを聞いてもらうなど、何度も練習しました。そのおかげもあり、当日は大きく言葉に詰まることなく進められました。
ただ、会議が終われば仕事も終わり、とはいきません。
夜は販売店との会食があり、白酒(báijiǔ)で何度も乾杯。その後のKTV(カラオケ)でも、中国語を話せない自社のメンバーの通訳として動き回りました。
展示会から代理店会議、会食まで、慣れないことの連続で、出張が終わる頃にはかなり疲れていたのを今でも覚えています。
2回目の上海開催では販売戦略の共有にも取り組んだ

2回目の代理店会議も、上海での展示会終了後に開催しました。ただ、初回と違ったのは、新製品の説明に加え、中国市場の販売状況や今後の方針を共有する時間を設けたことです。
会議の冒頭では、自分で作成した中国語のPowerPoint資料を使い、売上高や販売台数の推移、目標売上、今後の販売ターゲットなどを説明しました。また、過去に発生した製品トラブルについても情報を共有し、各販売店には引き合いや商談の進捗を管理してもらうようお願いしました。
単なる新製品説明会ではなく、今後の営業活動について販売店と方向性をそろえることも、この会議の目的の一つでした。
その後は、新製品の機能や特徴を紹介し、技術者を中心に実機に触れてもらうトレーニングへ。実際に操作してもらうことで、製品への理解を深めてもらう狙いがありました。
準備の進め方は初回と同様です。現地の販売店に会場の手配や見積もりの取得、予算に合った会食場所の選定をお願いし、タイムスケジュールも事前に共有。展示会で使った機械は、終了後そのまま会議会場へ運び込む段取りを組みました。
当日は大きなトラブルもなく終了。最初の会議では製品説明と通訳に精いっぱいでしたが、2回目は販売店に今後の営業活動をどう進めてほしいか、自分の言葉で伝える場にもなりました。
北京開催の前日に飛行機が欠航し、夜行列車で向かうことに
3回目の代理店会議は、場所を変えて北京で開催することになりました。今回は展示会と合わせた開催ではなく、代理店会議だけを目的とした出張です。
会議前日は上海で顧客を訪問し、夕方の飛行機で北京へ移動する予定でした。しかし、浦東空港に到着しても一向に飛行機が出発しません。待ち続けた末、17時半頃になって欠航が決まってしまいました。
翌日の午前中には代理店会議が始まります。今から別の飛行機を手配するのは難しく、どうすれば間に合うのか必死に考えました。
そこで思いついたのが、夜行列車で北京へ向かう方法です。急いで地下鉄に乗って上海駅へ移動し、何とか北京行きのチケットを確保。人生で初めて、中国の夜行列車に乗ることになりました。
翌朝、無事に北京駅へ到着し、ホテルまでたどり着いたものの、疲れ切って頭が回らない状態。結局、午前中の開催は断念し、午後からの開始に変更してもらいました。
集まってくれた販売店のメンバーには事情を説明してお詫びし、何とか会議を開催。海外出張では、予定どおりに物事が進むとは限りません。こうした予期せぬトラブルに直面したとき、その場で代わりの方法を考え、臨機応変に対応する現場力も大切だと実感した出来事でした。
北京の代理店会議では販売店同士の意見交換を重視した

夜行列車での移動という思わぬトラブルはありましたが、午後からの会議では、これまでとは少し違う取り組みを用意していました。
まず私から、中国市場での売上高や販売台数の推移、今後の目標、重点的に販売したい分野を中国語の資料で共有。新たな引き合い獲得に向けたキャンペーンや、製品の一部仕様変更についても説明しました。
続いて、参加した4社の販売店に順番に発表してもらいました。各地域での販売事例や日頃の困りごとを共有してもらい、普段は別々に活動する販売店同士が、お互いの状況を知る機会にしたかったからです。
さらに「フィッシュボーンチャート(鱼骨图/yúgǔtú)」を使ったワークショップも企画しました。魚の骨のような図を使って、問題の原因を整理する手法です。テーマは、あえて「なぜ自社の遠心分離機は売れないのか」。販売店ごとに原因を考えてもらい、その後、全員の前で発表してもらいました。
販売店によって置かれている状況も、考え方も違います。だからこそ、こちらが一方的に話すだけでは出てこない意見もあり、私自身、興味深く聞いていました。製品を紹介するだけでなく、販売店と一緒に課題を考える会議にできたことが印象に残っています。
中国の代理店会議のよくある質問

中国の代理店会議では何をしますか?
新製品の説明や実機を使った技術トレーニングに加え、売上や販売方針の共有、販売店同士の意見交換などを行います。会議後の会食も、販売店との関係を深める大切な時間です。
中国語で製品説明をするには、どんな準備が必要ですか?
中国語の台本を作成し、ネイティブに聞いてもらいながら何度も練習するのが効果的です。専門用語や想定される質問を事前に確認しておくと、当日も落ち着いて対応できます。
代理店会議の準備は現地の販売店に協力してもらえますか?
会議室探しや見積もりの取得、会食場所の手配などは現地の販売店に協力してもらうとスムーズです。宿泊費や交通費など、費用の負担範囲も事前に取り決めておきましょう。
まとめ|中国の代理店会議で学んだ3つのこと
今回は、中国で代理店会議を開催した際の体験談を紹介しました。
3回の会議を振り返ると、特に大切だったと感じるのは次の3つです。
- 事前準備と調整力: 現地の販売店と協力し、会場やスケジュール、会食などを手配する
- 中国語でのコミュニケーション: 製品を説明するだけでなく、販売店の意見を聞き、課題を共有する
- 臨機応変な対応力: 飛行機の欠航など、予期せぬトラブルにもその場で解決策を考えて行動する
また、会議後の会食も、販売店との関係を深める大切な時間でした。中国語が話せるだけでは仕事は進まず、現地の人たちと協力しながら一つひとつ対応していくことが求められます。
今振り返ると、これだけの準備や進行をほぼ一人で担当していたことに、自分でも少し驚きます。大変なことも多かったですが、それ以上に、国や文化の違う人たちと一緒に仕事を進める面白さを感じた経験でした。
中国での仕事に興味がある方は、語学の勉強だけでなく、実際に現地の人たちと関わりながら働く姿も、ぜひイメージしてみてください。


