中国語で契約や訴訟などの法務に関するやり取りをする際、「専門用語が多く、内容を正確に理解・説明できるか不安」と感じたことはありませんか。
法務分野では、契約書の内容を確認する表現から、条文の読み方、リスクの伝え方、訴訟に関する言い回しまで、一般的なビジネス中国語とは異なる特有の言葉遣いが数多く使われます。基本的な用語や定型表現を押さえておくと、文書の内容や相手の意図を理解しやすくなるでしょう。
この記事では、法務の現場でよく使われる中国語表現を紹介します。
この記事の3行まとめ(AI要約)
- 法務の中国語は一般的なビジネス中国語とは異なり、契約・条文・訴訟などで特有の用語と定型表現が使われる。まずは頻出の基本用語と動詞を、組み合わせて使う対象とともに押さえることが第一歩となる。
- 契約書のやり取りでは、確認や返信など相手に求める行動を明確に伝え、修正・合意の場面では対象となる条項を具体的に示すことが重要。曖昧な表現は認識の違いにつながる。
- リスクや訴訟に関する表現は言い切りを避けて状況を説明し、実際の手続きでは弁護士など専門家に確認したうえで使う。専門性が高いため、体系的な学習が理解を助ける。
法務で使う中国語の基本表現
法務分野で中国語を使う際は、専門用語や動詞の意味を正しく理解することが第一歩です。
法務で頻出の基本用語
専門用語を把握しているかどうかで、文書の内容理解だけでなく、打ち合わせなどでのやり取りのしやすさも変わります。
| 日本語 | 中国語 | ピンイン |
| 法務 | 法务 | fǎwù |
| 法令 | 法律法规 | fǎlǜ fǎguī |
| 契約 | 合同 | hétong |
| 契約書 | 合同书 | hétóngshū |
| 当事者 | 当事人 | dāngshìrén |
| 義務 | 义务 | yìwù |
| 権利 | 权利 | quánlì |
| 法的責任 | 法律责任 | fǎlǜ zérèn |
「合同(hétong)」は契約という行為・関係そのものを指すのに対し、「合同书(hétóngshū)」は契約内容を明文化した書面を指します。似ているようで対象が異なるため、区別して覚えておきましょう。
実務でよく使う基本動詞
契約や法令に関する場面では、特有の動詞が使われます。文書はもちろん、会話の中で正しく使いこなせるかどうかも実務では重要です。
| 日本語 | 中国語 | ピンイン |
| 締結する | 签订 | qiāndìng |
| 提出する | 提交 | tíjiāo |
| 適用する | 适用 | shìyòng |
| 遵守する | 遵守 | zūnshǒu |
| 違反する | 违反 | wéifǎn |
| 開示する | 披露 | pīlù |
「违反(wéifǎn)」は「违反合同(wéifǎn hétong)=契約に違反する」「违反法律(wéifǎn fǎlǜ)=法令に違反する」のように、対象を伴って使われることが多い動詞です。
単語だけで覚えず、どのような対象と組み合わせて使うかを意識すると、実際の場面でも応用しやすくなります。
法務担当者が契約書で使う中国語表現

契約書では、送付から内容確認、修正、締結まで、さまざまな場面で表現の使い分けが必要です。状況に応じた表現を押さえておくと、実務でのやり取りを円滑に進めやすくなります。
契約書の送付・確認で使う表現
契約書のやり取りでは、次のような表現がよく使われます。
| 日本語 | 中国語 | ピンイン |
| 契約書の草案をお送りいたします。 | 现发送合同草案供您确认。 | Xiàn fāsòng hétong cǎo’àn gōng nín quèrèn. |
| 契約書を添付いたしますので、ご査収ください。 | 附上合同书,请查收。 | Fùshàng hétóngshū, qǐng cháshōu. |
| ご確認の上、ご返信ください。 | 请确认后回复。 | Qǐng quèrèn hòu huífù. |
「请确认后回复(Qǐng quèrèn hòu huífù)」のように、「请+動作+后+動作」の形を使うと、「確認してから返信する」という2つの依頼を1文で簡潔に伝えられます。契約書のやり取りでは、複数の対応を一度に依頼する場面が多いため、この型を覚えておくと便利です。
契約書に関する連絡では、確認や返信など、相手に求める行動を明確に伝えましょう。
修正や合意で使う表現
契約締結前には、修正案の共有や内容の再確認など、複数回のやり取りが発生することもあります。合意形成に役立つ表現を紹介します。
| 日本語 | 中国語 | ピンイン |
| 修正案をご確認ください。 | 请确认修改方案。 | Qǐng quèrèn xiūgǎi fāng’àn. |
| ご指摘の内容を反映いたしました。 | 已根据您的意见进行了修改。 | Yǐ gēnjù nín de yìjiàn jìnxíngle xiūgǎi. |
| 内容に問題がなければ契約を締結いたします。 | 如无异议,我们将签订合同。 | Rú wú yìyì, wǒmen jiāng qiāndìng hétong. |
「已~了(yǐ~le)」を使うと、対応がすでに完了していることを明確に伝えられます。この構文は、法務のやり取りに限らず、対応状況を報告する場面で幅広く使えます。
修正内容や合意事項は、対象となる変更点や条項を具体的に示すことが重要です。曖昧な表現は、認識の違いや誤解につながる恐れがあります。
条文を理解するための中国語表現

条文では、義務や禁止、適用条件などを明確に示すために、決まった言い回しが多く使われます。代表的な語句の意味を理解しておくと、条文の内容を正確に読み取りやすくなります。
| 中国語 | ピンイン | 日本語 |
| 依据 | yījù | ~に基づく |
| 应当 | yīngdāng | ~しなければならない |
| 不得 | bùdé | ~してはならない |
| 可以 | kěyǐ | ~できる |
| 另有规定 | lìng yǒu guīdìng | 別段の定めがある |
| 本条 | běn tiáo | 本条 |
「应当(yīngdāng)」は義務、「不得(bùdé)」は禁止、「可以(kěyǐ)」は許可を表し、条文で求められる行為の強さに応じて使い分けられます。
条文を読む際は、前後の条項や例外規定の内容も併せて確認しましょう。
リスクを伝える中国語表現
法務では、契約内容や業務上のリスクを伝えたり、必要な対応を求めたりする場面もあります。
法的リスクを説明する表現
法的な問題が生じる可能性や懸念点を伝える際は、対象や内容を明確にしつつ、伝え方にも配慮しましょう。
该条款存在法律风险。
Gāi tiáokuǎn cúnzài fǎlǜ fēngxiǎn.
(この条項には法的リスクがあります。)
该内容可能违反相关法律法规。
Gāi nèiróng kěnéng wéifǎn xiāngguān fǎlǜ fǎguī.
(この内容は、関連する法令に抵触する可能性があります。)
「存在(cúnzài)」は、断定的な言い回しを避けながら状況を説明したい場面で使える表現です。
リスクを伝える際は、「〜の可能性がある」のように言い切りを避けると、相手も冷静に受け止めやすくなります。
対応を求める表現
リスクを伝えた後は、相手に対応を促す必要も出てきます。ここでは、相手が次に取るべき行動を伝える表現を紹介します。
请根据相关法律法规修改该条款。
Qǐng gēnjù xiāngguān fǎlǜ fǎguī xiūgǎi gāi tiáokuǎn.
(関連法令に基づき、この条項を修正してください。)
请在下次会议前完成风险评估。
Qǐng zài xià cì huìyì qián wánchéng fēngxiǎn pínggū.
(次回の会議までに、リスク評価を完了させてください。)
「根据(gēnjù)」も「依据(yījù)」と同様に「〜に基づいて」を意味し、対応の根拠を示す際によく使われます。
「风险评估(fēngxiǎn pínggū)」は、想定されるリスクを整理・分析することを指します。契約内容や事業活動に問題がないかを事前に確認する場面で用いられる表現です。
口頭で伝えた場合は、依頼内容をメールなど文書の形でも残しておくと、後々の行き違いを防ぎやすくなります。
訴訟に関する中国語表現

訴訟では、提訴や応訴、和解など、手続きの進行に応じて表現が異なります。
我方已提起诉讼。
Wǒfāng yǐ tíqǐ sùsòng.
(当方は提訴しました。)
我方将依法应诉。
Wǒfāng jiāng yīfǎ yìngsù.
(法令に基づき応訴します。)
双方已达成和解。
Shuāngfāng yǐ dáchéng héjiě.
(双方は和解に至りました。)
「提起诉讼(tíqǐ sùsòng)」「应诉(yìngsù)」は、いずれも訴訟の各段階で用いられる代表的な表現です。
訴訟に関する表現は、状況によって使い分ける必要があります。実際の手続きや文書で使用する際は、弁護士など専門家に確認した上で使いましょう。
まとめ
法務で使う中国語を学ぶ上で押さえておきたいポイントを整理します。
- 法務で頻出する基本用語や動詞を押さえる
- 契約書のやり取りは、対象や依頼内容を明確に伝える
- 条文で使われる表現や構文の特徴を理解する
- リスク対応や訴訟では、状況に応じた表現を使い分ける
法務に関する中国語は専門性が高く、独学では細かなニュアンスの違いに気づきにくいものです。オンラインレッスンなどを活用すれば、講師とのやり取りを通じて、実務に即した表現を体系的かつ実践的に身に付けられるでしょう。


