「翻訳ツールを使えば中国語の文章は作れるものの、そのまま取引先に送ってよいのか分からない」「ある程度は中国語で書けても、相手に違う意味で伝わらないか不安」と感じることはありませんか。
日本語から中国語へ正確に伝えるには、単語を置き換えるだけでなく、主語や依頼内容を明確にし、相手に合った表現を選ぶことが大切です。
本記事では、日本語と中国語の違い、直訳の危険性、よくある翻訳ミスを防ぐポイントを解説します。
中国企業との営業や製造業の実務で中国語を使ってきた経験をもとに、相手に意図を正しく伝えるための考え方をまとめました。翻訳した中国語を確認する視点を身につけ、これまでより自信を持って日々の業務に取り組むための参考にしてください。
ビジネス中国語の翻訳で特に注意が必要な場面
ビジネス中国語では、納期や数量などの条件を伝える場面と、相手に確認や作業を依頼する場面で注意が必要です。
曖昧な表現を避け、相手が迷わず判断できる内容に整えましょう。
納期や数量を伝えるときは具体的な数字を示す
納期や数量を伝えるときは、「できるだけ早く」「多めに」ではなく、日付や個数を具体的に示します。
たとえば
请最晚于7月30日出货100个。
Qǐng zuìwǎn yú qī yuè sānshí rì chūhuò yì bǎi ge.
(遅くとも7月30日までに100個出荷してください。)
のように伝えると、数字も明確になり、認識違いを防ぎやすくなります。
相手に依頼するときは求める行動を明確にする
相手に依頼するときは、「対応してください」ではなく、確認・返信・修正など求める行動を示します。
たとえば図面確認なら、
请确认附件图纸。如有问题,请随时与我联系。
Qǐng quèrèn fùjiàn túzhǐ. Rú yǒu wèntí, qǐng suíshí yǔ wǒ liánxì.
(添付図面をご確認ください。問題がありましたら、いつでもご連絡ください。)
と伝えると、相手が次にとる行動も分かりやすくなります。
日本語と中国語の違いを理解して翻訳する
日本語と中国語では、情報の示し方や文の組み立て方が異なります。
日本語を単語ごとに訳すのではなく、伝えたい内容を整理して中国語の文に組み直すことが大切です。
日本語では主語や対象を省略することがある
日本語では、前後の流れで分かる主語や対象を省くことがあります。
たとえば「確認後、返信してください」だけでは、誰が何を確認し、誰に返信するのかが明確ではありません。「貴社で添付図面を確認し、当社へ返信してください」と内容を整理してから訳すと、依頼の意図が伝わりやすくなります。
日本語の語順を整理して中国語の文に組み直す
日本語の助詞や語順をそのまま中国語へ当てはめると、不自然な文章になることがあります。
「明日、当社から見積書を送ります」の「から」を「从 cóng」と訳すのではなく、
我们明天会发送报价单。
Wǒmen míngtiān huì fāsòng bàojiàdān.
(明日、当社から見積書を送ります。)
のように、中国語では「私たち」を主語にしてシンプルに組み立てます。単語ではなく、文全体を中国語の形に整えることがポイントです。
日本語をそのまま直訳するのが危険な理由
日本語と中国語には、同じ漢字でも意味が異なる言葉があります。
曖昧な日本語を直訳すると、意図が伝わりにくくなるため注意が必要です。
同じ漢字でも意味が変わることがある
日本語の漢字をそのまま中国語にすると、意図と異なる意味になる場合があります。
たとえば「検討」を「检讨(jiǎntǎo)」と訳すと、中国語では反省や自己批判の意味で使われることが多いです。
私も以前この表現を使い、
我会在公司内部检讨一下今天讨论的内容。
Wǒ huì zài gōngsī nèibù jiǎntǎo yíxià jīntiān tǎolùn de nèiróng.
(今日話し合った内容を社内で検討します。)
と相手に伝えたものの不自然さを感じました。
この場合は「内部讨论 nèibù tǎolùn」などの表現が自然です。
曖昧な日本語を直訳すると意図が伝わりにくい
「~するように」のような日本語の曖昧な表現をそのまま中国語へ訳すと、目的や求める行動が伝わりにくくなります。
たとえば「不具合が再発しないように対策してください」は、
请采取措施,防止问题再次发生。
Qǐng cǎiqǔ cuòshī, fángzhǐ wèntí zàicì fāshēng.
(対策を講じ、不具合の再発を防いでください。)
と表現できます。
求める行動とその目的を明確にすることがポイントです。
ビジネス中国語で起こりやすい翻訳ミス
ビジネス中国語では、文章の意味だけでなく、表記や専門用語の選び方にも注意が必要です。
相手が普段使っている中国語に合わせることで、読みやすさと信頼性が高まります。
簡体字・繁体字の表記を混同する
中国本土では簡体字、台湾・香港・マカオでは主に繁体字が使われています。
たとえば「添付図面をご確認ください」は、簡体字では「请确认附件图纸」、繁体字では「請確認附件圖紙」と表記します。標準的な中国語での発音はいずれも「Qǐng quèrèn fùjiàn túzhǐ」です。
意味は同じでも、1つの文章に両方が混在すると読みにくく、確認不足という印象を与える可能性があります。送信前に相手が使用する表記を確認することが大切です。
専門用語の訳し方が統一されていない
同じ製品や部品を指す言葉でも、取引先によって使われる表現が異なることがあります。
私が遠心機を扱っていた際は、中国側で「主机 zhǔjī 」、台湾側で「本體 běntǐ 」と呼ばれることがありました。どちらかが常に正しいとは限らないため、相手の図面や資料に記載された用語に合わせるのが基本です。
社内でも用語集を作り、メールや資料で表現を統一すると誤解を防ぎやすくなります。
ビジネス中国語を正しく伝える翻訳のポイント
翻訳ツールを使う場合も、入力する日本語の整え方と翻訳後の確認が重要です。
要点を明確にしてから訳し、意味や数字にずれがないかを見直すことで誤解を防げます。
翻訳前に日本語を短く具体的にする
日本語のビジネスメールでは、前置きや遠回しな表現を使うことが多いため、そのまま翻訳すると要点が分かりにくい文章になることがあります。
たとえば「お忙しいところ恐れ入りますが、出荷手配を進めるため、7月30日までに必要数量をご連絡いただけますでしょうか」は、次のように整理できます。
为安排出货,请最晚于7月30日告知所需数量。
Wèi ānpái chūhuò, qǐng zuìwǎn yú qī yuè sānshí rì gàozhī suǒxū shùliàng.
(出荷手配のため、遅くとも7月30日までに必要数量をお知らせください。)
前置きを短くし、目的・期限・依頼内容を明確にすることがポイントです。
翻訳後に意味のずれを確認する
翻訳後は、主語や依頼内容に加えて、数量・日付・否定表現が正しく反映されているかを確認します。
中国語を日本語へ再翻訳すると、大きな意味のずれを見つける参考になります。
ただし、重要なメールや資料で翻訳結果に不安が残る場合は、中国語が分かる人に確認してもらうと安心です。
まとめ|ビジネス中国語の翻訳の注意点を押さえて実践しよう
今回は、日本語からビジネス中国語へ翻訳するときの注意点と、直訳によるミスを防ぐ方法についてまとめました。
押さえておきたいポイントは以下の通りです。
- 納期・数量・依頼内容は具体的に伝える
- 省略された主語や対象があれば明確にしてから訳す
- 日本語の語順や助詞をそのまま中国語に当てはめない
- 日本語と中国語で意味が異なる漢字は、文脈に合う表現を選ぶ
- 簡体字・繁体字や専門用語を相手に合わせ、翻訳後も見直す
翻訳ツールで中国語の文章を作れても、意図が正しく伝わるとは限りません。まずは次に送るメールやチャットから、誰が何をするのか、数字や依頼内容が明確になっているかを確認してみてください。
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