私がHSK5級を取得したのは2011年です。その後も仕事では中国語を使い、メールや打ち合わせなどもそれなりに対応できていたため、当時は6級を取らなければ困るという感覚はありませんでした。
実際にHSK6級の問題をちらっと見たこともありましたが、知らない単語も多く、「これは今の自分にはかなり難しそうだ」と感じて、しばらく受験する気にもなれませんでした。
その考えが変わったのは、今後の働き方について改めて考えるようになったことがきっかけです。中国語をもう一段自分の強みにしたいと思い、2023年3月にHSK6級へ挑戦しましたが、結果は167点。
合格基準の180点まであと13点でした。
そこから勉強方法を何度も見直し、3か月間のコーチングも利用した結果、2024年3月に187点を取得しました。今回は、勉強を再開した経緯や独学でつまずいた経験、特に苦労した作文の対策まで、私自身の体験をもとに振り返ります。
これからHSK6級を受験しようと思っている方や、難しさを感じている方が勉強を進める際の参考になれば嬉しいです。
この記事の3行まとめ(AI要約)
- HSK5級取得から10年以上を経て6級に挑戦し、初受験は167点で不合格。合格基準の180点まであと13点で、特に聞き取りが46点と伸び悩んだ。
- 独学の計画は続かず、3か月間のコーチングで「決めて続ける仕組み」を作ったことが転機になり、日報と週次確認で1日2〜2.5時間の学習を継続できた。
- 最難関の作文は添削・10分間の読み方の型・ミスを減らす書き方で対策し、2回目で187点(聞き取りは18点アップ)を取得、その後の転職にもつながった。
HSK5級取得後、6級の勉強を再開した理由
再びHSK6級を目指そうと思ったきっかけは、当時の仕事に行き詰まりを感じたことでした。
当時は管理職として海外営業に関わっており、現地の販売店から聞いた要望や、自分なりに考えた海外向けの製品づくりについて社内で何度も提案していました。ただ、なかなか新しい動きにはつながらず、「まずやってみよう」「一緒に考えてみよう」という話にもなりませんでした。
そんな状態が続くうちに、「このままここで働き続けて、自分は何を成長させられるのだろう」「自分がこの部署で働いている意味は何だろう」と考えるようになりました。
そこで一度立ち止まり、これまでの仕事や経験を振り返りながら、自分が本当にやりたいことを整理してみました。すると、中国語を使って中華圏の人と関わることや、日本と中国の間に立って、自分の知識や考えを相手に分かりやすく伝えるような仕事が、自分のやりたいことだと改めて気づきました。
そうした仕事に進むには、今の中国語力のままでは足りない。転職して次のステップへ進むためにも、まずは中国語力をもう一段引き上げたい。そこで、HSK6級の取得を一つの最低ラインとして決め、改めて勉強を始めました。
初めてのHSK6級は167点、あと13点が遠かった
2023年3月、初めてHSK6級を受験しました。
結果は167点(聞き取り46点、読解64点、作文57点)、合格基準の180点まであと13点です。
数字だけなら「あと少し」に見えますが、実際に受験した自分には、その13点がかなり遠く感じられました。特に聞き取りは46点と、3技能の中で一番低い結果でした。聞き取りも読解も5級より文章量が多く、作文もどう対策すれば点数につながるのか分かっていない状態でした。
「もう少し勉強すれば届く」とは思えず、勉強の進め方そのものを見直す必要があると考えました。
合格するために計画を作ったものの続かなかった
167点という結果を受け、「次は何をどれくらい勉強すれば合格できるのか」を考えました。
単語や文法、リスニング、シャドーイングなど、取り組む内容と時間を細かく決め、まず180点、その次は210点、最終的には240点と段階的に目標を設定しました。

2023年5月に勉強方法を見直したときのメモ
ただ、実際に始めてみると、思ったようには続きません。
仕事や家庭の予定がある中で、毎日計画通りに勉強するのは難しく、計画を立て直してもまた続きませんでした。
「これだけやれば合格できる」という道筋を作っても、実行できなければ意味がありません。独学だけでこの状態を変えるのは難しいと感じたことが、その後コーチングを利用するきっかけになりました。
コーチングで勉強の進め方を変えた
独学で何度も計画を立て直してもうまく続かなかったため、2023年11月から3か月間、中国語のコーチングを受けることにしました。
それまでは「今日は何を勉強しよう」と自分で考えるところから始めていましたが、コーチングでは取り組む内容を決め、毎日学習した内容を日報で報告し、週末には進み具合や苦手な部分も確認してもらいました。
単語や発音、シャドーイング、作文などにも取り組みましたが、一番大きかったのは勉強量を増やしたことよりも、やるべきことを決めて継続する形を作れたことです。
HSK6級対策で使った教材と勉強時間

独学の時期とコーチングを受けた時期では、使った教材が変わりました。
独学の時期に使った教材
- 『改訂版キクタン中国語【中級編】中検2級レベル』(アルク):単語学習用
- 『合格奪取!新HSK6級トレーニングブック 読解・作文問題編』(アスク出版):読解・作文対策用
コーチングで使った教材
- 『中国語検定HSK公認長文テキスト5級』(スプリックス):シャドーイング用
- 『中国語検定HSK公式過去問集6級』(スプリックス):過去問演習用
- 『HSK基本語彙5級-6級』(白帝社):単語学習用
勉強時間は、1日2時間から2時間半程度が目安でした。
HSK6級で一番苦労した作文の対策

HSK6級で一番苦労したのが作文です。約1,000字の文章を10分間で読み、内容を覚えたうえで400字程度にまとめる必要があります。しかも、読む時間にはメモを取れません。
初めて取り組んだ頃は、文章を読むだけで10分が経過し、内容を整理して覚える余裕すらありませんでした。
過去問を書いてコーチに添削してもらった
対策では、過去問を使って実際に作文を書き、コーチに添削してもらいました。
添削を受けて気づいたのは、中国語の表現だけでなく、答案用紙の使い方にも細かな注意点があることです。たとえば「628年」の数字をどのマスに入れるのか、会話文の「:」「“」や文末の「。」「”」をどう書くのかといった点まで教えてもらいました。
また、焦って書くと「距离」の「离」を日本語の「離」で書いてしまうこともありました。添削を通して、簡体字を正しく書くことまで意識できるようになったのもよかったです。
そのほかにも、中国語の表現として、「判断了撤兵」と書いた文章に対して、
「决定了撤兵」
「做了撤兵的决定」
「做出了撤兵的决定」
など、より自然な言い方を教えてもらいました。自分で書くだけでは気づけない間違いを一つずつ確認できたことは、作文対策で特に役立ったと感じています。
10分間の読み方と時間配分を決めた
もう一つ教わったのが、文章を指で追いながら1行10秒程度のペースで読む方法です。
10分間のうち、最初の5分で文章全体を読み、次の3分で内容を整理、最後の2分でもう一度重要な部分を確認するようにしました。
読む時間の使い方をあらかじめ決めたことで、以前のように文章を読んでいるだけで10分が終わることが減り、内容を整理して作文を書く余裕も少しずつ生まれました。
難しい表現よりもミスを減らすことを意識した
作文では、「難しい単語や表現を無理に使わず、自分が確実に書ける中国語でまとめればいい」と教えてもらったことも印象に残っています。
内容を覚えて文章にするだけでも余裕がない中で、難しい表現を使って間違えてしまえば減点につながります。漢字や数字、句読点なども含め、余計なミスをできるだけ減らすことを優先しました。
2024年3月、187点を取得

勉強方法を見直しながら取り組みを続け、2024年3月に再びHSK6級を受験しました。
結果は187点。内訳は、聞き取り64点、読解62点、作文61点で、初受験の167点から20点伸ばすことができました。特に、一番苦手だった聞き取りが46点から64点へと18点上がったことが、合格につながりました。
合格基準を少し上回っただけかもしれませんが、自分にとっては、なかなか越えられないと感じていた5級と6級の壁を越えられたことが本当に嬉しかったです。
1回目より気持ちにも余裕があり、聞き取りで知らない単語が出ても前後から答えを考えたり、各パートの時間配分を意識したりできるようになりました。勉強を続けたことで、試験への向き合い方も変わったと感じています。
HSK6級取得が転職への一歩になった
HSK6級を取得したことで、「中国語を使う仕事にもう一度挑戦してみよう」と思えるようになり、本格的に転職活動を始めました。
その後、中華系企業の日本法人へ転職することになります。選考では中国語で面接を受ける機会もあり、自分のこれまでの経験や考えを中国語で伝えることができました。
もちろん、HSK6級を持っていたから転職できたわけではありません。ただ、自分の中国語力に少し自信を持てたことや、「次に進んでみよう」と行動に移せたことは、合格して得られた大きな変化だったと思います。
HSK6級のよくある質問
HSK6級の合格点は何点ですか?
聞き取り・読解・作文の300点満点中、180点以上で合格です。筆者は初受験で167点、2回目の受験で187点を取得しました。
HSK6級の作文はどのような問題ですか?
約1,000字の文章をメモなしで10分間読み、その内容を400字程度に要約して書く問題です。読む時間の配分を決め、確実に書ける表現でミスを減らすことが対策のポイントです。
HSK6級の勉強が独学で続かないときはどうすればよいですか?
筆者は独学の計画が続かず、3か月間のコーチングで日報や週ごとの振り返りを取り入れて継続できました。やるべきことを決めて報告する仕組みを作ると、学習を習慣にしやすくなります。
最後に
HSK6級は、一度167点で届かなかったからこそ、勉強の進め方や自分の弱点を見直すきっかけになりました。
計画通りに続かなかった時期もありましたが、試行錯誤しながら勉強を続けたことで187点を取得でき、その後の転職にもつながりました。
振り返ると、HSK6級の取得そのものだけでなく、もう一度中国語と向き合い直せたことが、自分にとって一番大きかったように思います。


