2026年10月12日から日本テレビ系で放送されるドラマ『十六夜膳房(いざよいぜんぼう)』(原作:毛無/日本語版:ポプラ社)。日本のドラマ放送をきっかけに作品を知った人も多いかもしれませんが、その原点は中国で発表された小説にあります。
原作は、中国のWebプラットフォーム「StoryBook」で連載された「地獄膳房」シリーズです。中国で書籍化されたのち韓国にも渡り、2026年、日本で世界初の映像化が実現しました。
さらに興味深いのは、著者・毛無(マオ・ウー)さん自身も中国から日本へ渡り、日本テレビで番組制作に携わってきた経歴を持っていることです。
中国で生まれた一つの物語は、どのような道のりを経て日本のドラマになったのでしょうか。この記事では、『十六夜膳房』の原作や著者・毛無さんについて、中国や韓国で注目された経緯、日本語版の刊行予定とあわせて紹介します。
この記事の3行まとめ(AI要約)
- 原作は中国の「StoryBook」で連載された「地獄膳房」シリーズで、2017年に中国、2019年に韓国で書籍化された。
- 著者・毛無さんは上海出身で、医学部時代にICUで患者の最期に立ち会った経験から「最後の一皿」の物語を書き、その後日本テレビに入社した。
- 2026年10月12日から日本テレビ系でドラマ放送、日本語版上巻は11月11日にポプラ社から発売予定。今回が世界初の映像化となる。
『十六夜膳房』の原作は中国発の「地獄膳房」シリーズ

『十六夜膳房』の原点となったのは、中国のWebプラットフォーム「StoryBook」で連載された「地獄膳房」シリーズです。
中国語では「地獄膳房」は地狱膳房(Dìyù Shànfáng)と表します。地狱(dìyù)は地獄、膳房(shànfáng)は食事を用意する場所を指す言葉です。ちなみに著者名の毛無は、中国語の簡体字では毛无(Máo Wú)と書きます。
公式情報によると、「地獄膳房」シリーズは連載期間中に累計閲覧数1億回を突破し、読者数は600万人を超えています。その後、2017年に中国で書籍として出版されました。
ところが毛無さん自身は、中国・韓国で出版された当時について「花開くこともなかった」と振り返っています。数字だけを見ると、最初から順調に人気を広げてきた作品のようにも見えますが、実際にはもう少し長い時間をかけて海外へ広がっていきました。
2017年に中国で書籍化され、2019年には韓国語版が出版、そして2026年、日本で世界初の映像化を迎えます。
中国で発表されてから日本でドラマになるまで、およそ10年です。
近年は海外作品が動画配信サービスなどを通じて短期間で世界へ広がることも珍しくありません。それと比べると、『十六夜膳房』はWeb連載、書籍化、海外出版、映像化と、ひとつずつ段階を重ねながら国境を越えてきた作品といえます。
日本でドラマ化されて初めて作品を知った人にとっては、この長い歩みも原作を知るうえで興味深いポイントになるのではないでしょうか。
『十六夜膳房』の著者・毛無とは?医学部での経験から生まれた物語

『十六夜膳房』の著者・毛無さんは、中国の上海出身です。
毛無さんは中国の医学部に在学していた頃、ICUで多くの患者の最期に立ち会う経験をしています。この経験が、のちに『十六夜膳房』を書くきっかけになったとされています。
毛無さんが目にしたのは、人生の最後に豪華な料理を求める人ばかりではなかったということでした。フォアグラやフカヒレのような高級料理ではなかった、と本人も語っています。
ワンタンや甘酸っぱいりんごなど、一見するとごく普通の食べ物を求める人も多かったといいます。しかし本人にとっては、その食べ物に家族や故郷、過去の出来事などの記憶が重なっています。
ここに、『十六夜膳房』の「最後の一皿」という設定につながる原点があります。
たとえば、子どもの頃に家族と囲んだ食卓の料理、離れた故郷で日常的に食べていた味、大切な人が作ってくれた一品。値段や珍しさではなく、自分の人生と結びついているからこそ特別な料理があります。
注目したいのは、毛無さんが人の最期に接するなかで「最後に食べたいもの」と、その人が歩んできた人生とのつながりに目を向けたことです。
毛無さん自身は、作品を書いたあとに大きく環境を変えます。小説家として生計を立てるのは難しいと感じ、日本へ渡って日本テレビに入社。「月曜から夜ふかし」などの番組制作に携わるようになりました。
中国で小説を書いていた作者が日本でテレビ制作に関わり、やがて自分自身の作品が日本でドラマになる。この経歴も、『十六夜膳房』が日本へ届くまでの流れを語るうえでの特徴ではないでしょうか。
『十六夜膳房』はなぜ中国・韓国で話題に?BTS・Vの紹介も転機に
『十六夜膳房』が海外へ広がっていく過程で、大きな転機のひとつとなったのが韓国です。
中国で2017年に書籍化されたあと、2019年には韓国語版が出版されました。その後、BTSのVが作品を紹介したことで、さらに注目を集めたとされています。aespaのKARINAさんの愛読書としても知られています。
「地獄膳房」シリーズは、それ以前のWeb連載ですでに累計閲覧数1億回、読者数600万人超を記録しています。世界的な人気グループのメンバーが紹介する以前から、多くの読者に読まれていた作品ともいえる数字です。
本作は、中国の伝承を背景にした作品でありながら、中心にあるのは料理や人との別れ、過去の記憶といった身近なテーマです。
「最後にもう一度食べられるなら何を選ぶか」という問いは、中国の文化や伝承を詳しく知らなくても、自分自身に置き換えて考えることができます。
中国らしさを失わず、それでいて中国の読者だけに閉じた物語ではない。このバランスも、作品が海外へ広がっていく土台のひとつになったのではないでしょうか。
『十六夜膳房』日本語版は11月発売|ドラマ化まで約10年

日本では、2026年10月12日から日本テレビ系の深夜ドラマ枠「ドラマDEEP」で『十六夜膳房』が放送されます(毎週月曜 深夜0時24分〜)。主演は中村蒼さんです。
さらに、ドラマの放送開始から約1か月後となる2026年11月11日には、ポプラ社から原作小説の日本語版上巻が発売される予定です。翻訳は泉京鹿さんが担当し、下巻は2027年1月の刊行が予定されています。
原作が中国で出版されたのは2017年です。
そこから韓国語版の出版を経て、約10年後に日本で世界初の映像化が実現することになります。
毛無さんは中国で作品を発表したあと日本へ渡り、日本テレビで番組制作に携わってきました。そして2026年、自身が中国で書いた小説が、勤務先でもある日本テレビでドラマ化されます。
作品だけが中国から日本へ輸入されたのではなく、作者自身も日本でテレビ制作の経験を積みながら、長い時間を経て映像化にたどり着いたことになります。
また、日本ではドラマが日本語版小説より先に世に出る点も特徴的です。
そのため、日本では「原作小説の読者が映像化作品を見る」という順番だけでなく、「ドラマを見てから原作を読む」という人も多くなるかもしれません。
ドラマから入れば、人物や物語を映像としてイメージしやすい一方、最初に見た映像の印象が強く残ることもあります。
反対に、原作から入れば、自分なりに人物や料理、風景を想像できます。ただ、日本語版上巻の発売はドラマ開始後なので、放送開始時点では日本語で原作を先に読むことはできません。
どちらが正解というわけではなく、2026年の日本ではドラマと日本語版を近い時期に楽しめること自体が、『十六夜膳房』の新しい広がり方になりそうです。
原作小説とドラマ『十六夜膳房』で変わりそうなところは?

この記事の執筆時点では、ドラマ『十六夜膳房』はまだ放送前です。
そのため、「原作ではこうだったが、ドラマではこう変わった」と具体的な違いを断定することはできません。
一方、すでに発表されている人物設定から、日本のテレビドラマとしてどのようなアレンジが加えられるのか、その一端を考察することはできます。
たとえば、ドラマに登場する白無常は、関西弁を話す白猫として描かれます(声は渋谷凪咲さん)。
中国の死後世界に由来する存在を、そのまま説明的に登場させるのではなく、日本の視聴者がキャラクター像をつかみやすい存在として描こうとしていることがうかがえます。
こうしたローカライズにはメリットがあります。
それは、中国文化に詳しくない視聴者でも、会話やキャラクター同士のやり取りを通して物語に入りやすくなることです。原作を知らない人が多い日本で映像化する以上、背景知識がなくても楽しめる工夫は必要になります。
一方で、日本向けのアレンジが増えるほど、原作との境界が見えにくくなる可能性もあります。
ドラマで描かれた設定をそのまま「中国ではこう考えられている」と受け取ると、中国の伝承とドラマ独自の演出を混同してしまうかもしれません。
たとえば主人公の孟婆も、中国の伝承では記憶を消すスープを配る老婆として語られることが多く、男性の料理人として描かれるドラマ版とはずいぶん印象が異なります。伝承の孟婆については、孟婆湯とは?中国の死後の世界と『十六夜膳房』の元ネタを解説で詳しく紹介しています。
だからこそ、ドラマと原作の両方に触れられるようになったときには、その違いを比べるのもひとつの楽しみ方です。
原作ではどのように人物が描かれているのか。日本版ではどの設定が残され、どの部分に新しい解釈が加えられたのか。そして、中国で生まれた物語が日本の映像作品になることで、どのような表現に変わったのか。そうした点に注目して見比べてみるのも、面白いのではないでしょうか。
『十六夜膳房』の原作に関するよくある質問
- ドラマ『十六夜膳房』の原作は何ですか?
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中国の作家・毛無(マオ・ウー)さんの小説『十六夜膳房』です。中国のWebプラットフォーム「StoryBook」で「地獄膳房」シリーズとして連載され、累計閲覧数1億回、読者数600万人を突破しました。2017年に中国で書籍化され、2019年には韓国語版も出版されています。
- 著者の毛無さんはどんな人ですか?
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中国・上海出身の作家です。医学部在学中にICUで多くの患者の最期に立ち会った経験をもとに『十六夜膳房』を執筆しました。その後日本へ渡って日本テレビに入社し、「月曜から夜ふかし」などの番組制作に携わっています。
- 『十六夜膳房』の日本語版はいつ発売されますか?
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上巻は2026年11月11日にポプラ社から発売予定です。翻訳は泉京鹿さんが担当しています。下巻は2027年1月の刊行が予定されています。
- 『十六夜膳房』はなぜ韓国で話題になったのですか?
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2019年に韓国語版が出版されたあと、BTSのVが作品を紹介したことで注目を集めたとされています。料理や別れ、記憶といった誰にでも身近なテーマが、国を越えて共感を呼んだ面もあると考えられます。
- ドラマ『十六夜膳房』はいつから放送されますか?
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2026年10月12日から、日本テレビ系の深夜ドラマ枠「ドラマDEEP」で放送されます(毎週月曜 深夜0時24分〜)。主演は中村蒼さんで、今回が原作の世界初の映像化です。
まとめ
『十六夜膳房』は、中国のWeb連載から始まり、2017年の書籍化、2019年の韓国語版の出版を経て、約10年後の2026年に日本で世界初の映像化を迎えます。著者・毛無さん自身も中国から日本へ渡り、テレビ制作に携わってきました。ドラマ化と、11月11日の日本語版の刊行を機に、作品が日本でどのように受け取られていくのかにも注目です。


