4級までに単語や文法をある程度身につけていても、5級になると「単語の意味は知っているのに長文になると読めない」「内容は理解できるのに時間が足りない」「読むことはできても作文になると中国語が出てこない」といった壁にぶつかることがあります。
私自身、勉強を振り返って感じるのは、5級では参考書を何冊持っているかよりも、今の自分に足りない力を見極め、それを補える教材を選ぶことが大切だということです。
この記事では、HSK5級を実際に受験した経験をもとに、単語帳・過去問・作文対策本・長文読解教材の選び方を紹介します。すべてを揃える必要はありません。それぞれの教材が何のために必要なのかを理解し、自分に合った組み合わせを考えてみてください。
この記事の3行まとめ(AI要約)
- 5級の単語帳は日本語訳だけでなく、例文・音声・実際の使い方まで確認できるものを選ぶ。単語帳を一周して終わらせず、過去問や長文で再会させて定着させたい。
- 過去問は仕上げではなく最初に一度解き、間違いを「単語」「文法・語順」「時間」の3つに分類すると、次に必要な教材が絞れる。
- 作文対策本や長文読解教材は弱点が見えてから一冊だけ追加する。単語帳+過去問を軸にした2〜3冊で回すほうが、どの教材も復習が薄まらずに済む。
HSK5級の単語帳|単語の使われ方まで確認

HSK5級の単語帳を選ぶときは、単語と日本語訳だけでなく、その単語が文章の中でどのように使われるのかまで確認できるものがおすすめです。
5級になると、単語を見て日本語訳を答えられるだけでは対応しづらくなってきます。長文の中では前後の文脈を読みながら意味を判断しなければならず、単語を一対一の日本語訳で覚えていると、知っているはずの単語でも文章全体の意味を取り違えることがあります。
たとえば、単語帳を選ぶなら次の3点を確認してみてください。
- 短い例文が掲載されている
- 音声を聞きながら学習できる
- 単語の品詞や実際の使い方を確認できる
例文がある単語帳のメリットは、単語を文章とセットで覚えられることです。一方で、例文まで完璧に暗記しようとすると、一つの単語に時間をかけすぎるデメリットもあります。
私がおすすめしたいのは、単語帳だけで語彙学習を完結させない方法です。単語帳で一度覚えた言葉が過去問や長文に出てきたときに、「この前覚えた単語だ」と再確認する。この繰り返しによって、単語が少しずつ定着していきます。
反対に避けたいのは、すべての単語を完璧に覚えてから問題演習へ進もうとすることです。覚えたつもりでも、実際の文章で出会うと意味が分からないことがありますし、単語帳を一周すること自体が目的になってしまうこともあります。
単語帳は語彙を覚えるための入り口として便利ですが、一冊で5級の語彙対策がすべて終わるわけではありません。覚えた言葉を過去問や長文の中で何度も見つけることまで含めて、語彙学習と考えるのがおすすめです。
HSK5級の過去問|最初に解いて自分の弱点を見つける
HSK5級の過去問は、勉強の仕上げだけに使うのではなく、勉強を始める段階から取り入れるのがおすすめです。
「まだ勉強していないから解けない」と思うかもしれません。しかし、HSK5級の過去問を解くことは、最初から高得点を取ることだけが目的ではありません。まず一度解いてみることで、5級で何が求められているのか、自分はどこでつまずくのかを知ることができます。
ここで大切なのは、点数だけを見ないことです。
同じ不正解でも、原因はそれぞれ違います。
たとえば、知らない単語が多くて読めなかったのであれば語彙不足です。文章の内容は分かるのに最後まで解けなかったのであれば、読解速度に課題がある可能性があります。作文で何を書けばよいか分からなかったのであれば、単語を増やすより先にアウトプットの練習が必要かもしれません。
このように原因を分けると、次に使うべき参考書も変わります。
おすすめは、間違えた問題を次のように分類することです。
「単語を知らなかった」
「文法・語順が分からなかった」
「読む時間が足りなかった」
この3つだけでも、自分の弱点がかなり見えやすくなります。
過去問のメリットは、本番から逆算して勉強できることです。一方、デメリットは問題数に限りがあることです。同じ問題を何度も解けば答えそのものを覚えてしまうため、過去問だけで読解量を増やすのには限界があります。
だからこそ、過去問で弱点を見つけ、その弱点を単語帳や長文教材、作文対策本で補うという使い方が向いています。
HSK5級の作文対策本|知っている中国語を「書ける中国語」に変える

HSK5級で苦手意識を持ちやすいのが作文です。
単語を見れば意味が分かり、長文もある程度読める。それでも、いざ自分で文章を書こうとすると言葉が出てこないことがあります。
これは、読むときに必要な中国語と、自分で文章を組み立てるときに必要な中国語には違いがあるからです。
たとえば、次の3つは似ているようで異なります。
「単語を見れば意味が分かる」
「その単語が使われた文章を理解できる」
「何もない状態からその単語を使って文章を作れる」
作文で必要になるのは3つ目です。
そのため、作文が苦手な場合は、作文問題の解き方や例文を確認できる専用教材を一冊取り入れるのも選択肢です。
大切なのは、自分がすでに知っている単語や文法で、短くても筋の通った文章を作る練習をすることです。
たとえば、模範解答を読んだら終わりにするのではなく、同じテーマでもう一度自分で書いてみます。次に、登場人物や状況を変えて書きます。さらに翌日、何も見ずに似たテーマでもう一度文章を作ります。
この3段階を繰り返すと、「模範解答を理解できる」状態から「自分で文章を組み立てられる」状態へ少しずつ近づけます。
作文対策本のメリットは、自分だけでは練習しづらいアウトプットに集中できることです。反対に、模範解答の暗記に偏ると、少し違うテーマが出た途端に書けなくなる可能性があります。
日記を書く、中国語でその日の出来事を数行まとめるなど、試験問題以外でも自分で文章を作る習慣を持つと、作文への抵抗感を減らしやすくなります。
HSK5級の長文読解教材|一文ずつ日本語に訳す読み方から抜け出す

HSK5級では、単語を知っているのに長文になると急に難しく感じることがあります。
そこで、過去問だけでは読む量が足りないと感じる場合は、長文読解教材を取り入れるのがおすすめです。
長文対策というと「速く読む練習」を思い浮かべるかもしれません。しかし、単純に目を速く動かせば読解速度が上がるわけではありません。
ポイントになるのは、中国語を一文ずつ日本語へ訳さなければ理解できない状態から、少しずつ中国語の語順のまま内容を捉えられる状態へ近づけることです。
長文教材のメリットは、過去問を消費せずに中国語を読む量を増やせることです。一方、デメリットは、長文を読むだけではHSK特有の問題形式や時間配分には慣れにくいことです。
そのため、長文教材で読む力そのものを鍛え、過去問でその力を試験の中で使う。この2つを組み合わせることで、読解対策がしやすくなります。
HSK5級の参考書は何冊必要?役割が違う2〜3冊から始める
HSK5級を受けるからといって、単語帳、文法書、過去問、作文対策本、長文読解教材をすべて揃える必要はありません。
むしろ最初から参考書を増やしすぎると、「今日は単語帳、明日は作文、その次は長文」と学習が分散し、どの教材も中途半端になることがあります。
最初は、単語帳+過去問を基本にして、必要に応じて苦手分野の教材を一冊追加するくらいで十分です。
たとえば、次のように選べます。
語彙が足りない人
→単語帳+過去問
作文が苦手な人
→単語帳+過去問+作文対策本
文章を読むのが遅い人
→単語帳+過去問+長文読解教材
ここで重要なのは、自分の弱点にフィットする教材を選ぶことです。
最初に教材を絞りすぎると、自分が気づいていない弱点を補えない可能性もあります。
その弱点を見つけるためにも、最初に過去問を一度解いてみることをおすすめします。
参考書選びで迷うと、「評判のよい教材を全部揃えたほうが安心」と思うことがあります。しかし、大切なのは参考書の冊数ではありません。
過去問で課題を見つける。必要な教材で補う。そして、もう一度過去問で確認する。
この流れができれば、自分に必要な参考書も自然と絞られていきます。
まとめ
HSK5級では、知っている単語や文法を増やすだけでなく、それらを長文の中で理解し、自分でも使える力が求められます。
私自身、過去の勉強を振り返っても、参考書を増やすことより「今の自分には何が足りないのか」を考えながら勉強することが大切だと感じています。
まずは過去問を解いて現在地を確認し、自分の弱点に合わせて参考書を使い分けることが、HSK5級対策を進める近道です。


