中国企業と契約を結ぶ際、中国語の契約書を受け取ったものの、「何が書かれているのか分からない」「どこを確認すべきか不安」と感じたことはありませんか。実務では、注文書がそのまま契約として扱われるケースが多く、記載内容も細かいため、どこを確認すべきか迷ってしまいます。
中国語の契約は、単語を訳すだけでなく、事前に合意した条件と内容が一致しているかを確認することが重要になります。
本記事では、中国語の契約に関する基本用語から契約書の構成、確認すべき条項、締結時の表現や注意点までを実務の流れに沿って解説します。
実際に中国企業との取引で契約内容の確認や修正対応を行ってきた経験をもとに、契約書が届いた際に構えすぎず、「どこを確認すればよいか」を判断できるよう整理しました。参考になれば幸いです。
- 中国語契約では基本用語(合同・条款・违约责任など)を理解することが前提です。
- 特に価格・支払い条件・納期・紛争解決など影響の大きい条項を優先して確認します。
- 契約は書面が最優先のため、違和感があれば締結前に必ず修正・法務確認が必要です。
中国語の契約に関する基本用語と考え方

中国語の契約書や注文書を読む際は、まず基本用語の意味を押さえることが重要です。
押さえておく基本用語一覧
- 契約:合同(hétóng)
- 契約書:合同书(hétóngshū)
- 当事者:甲方(jiǎfāng)、乙方(yǐfāng)
- 条項:条款(tiáokuǎn)
- 締結:签订(qiāndìng)
- 違約責任:违约责任(wéiyuē zérèn)
これらの基本用語を押さえておくことで、契約書全体の構成や重要なポイントを把握しやすくなります。
注文書がそのまま契約扱いになる
日本では、取引基本契約を締結したうえで個別の注文を行うことが一般的ですが、中国ではそのような契約を結ばず、注文書単位で契約内容が成立するケースが多いです。
そのため、「合同(hétóng)」と記載された書類が注文書形式で届くこともあります。内容を確認せずに受領・返送すると、その記載がそのまま契約条件として適用されるため注意が必要です。
中国語の契約書の基本構成と全体像
中国語の契約書は、あらかじめ決まった構成に沿って作成されることが一般的です。
まずは全体の構成を紹介します。
当事者情報:甲方(jiǎfāng)、乙方(yǐfāng)
契約目的:合同目的(hétóng mùdì)
契約内容:合同内容(hétóng nèiróng)
支払い条件:付款条件(fùkuǎn tiáojiàn)
納期:交货期(jiāohuò qī)
品質・検収:质量要求(zhìliàng yāoqiú)
違約責任:违约责任(wéiyuē zérèn)
紛争解決:争议解决(zhēngyì jiějué)
契約書はこのような構成で記載されることが多く、それぞれの項目に重要な条件が含まれています。
実務ではスピードも重要なため、すべてを正確に訳そうとするのではなく、重要な部分がどこかに書かれているのかを理解することが効果的です。
次のパートでは、特に確認しておきたい条項のポイントについて整理します。
中国語の契約で確認すべき条項と見落としやすいポイント
契約書の構成を把握したうえで重要になるのが、どの条項を重点的に確認するかです。
影響が大きい条項から確認する
- 商品情報: 品名(品名 pǐnmíng)品番(编号 biānhào)数量(数量 shùliàng)
基本となる情報であり、認識のズレがないか確認します。 - 価格情報: 価格(价格 jiàgé)単価(单价 dānjià)
見積もりや事前に合意した価格と一致しているかを確認します。 - 支払い条件: 前払い(定金 dìng jīn)、後払い(尾款 wěi kuǎn)
相手の都合で条件が変更されている場合もあるため注意が必要です。 - 納期(交货期 jiāohuò qī)
現実的な納期か、事前の合意内容とずれていないかを確認します。 - 貿易条件(贸易条件 màoyì tiáojiàn)
EXWやCIFなどの条件によってリスク負担が変わるため必ず確認します。 - 紛争解決:争议解决(zhēngyì jiějué)
問題が発生した場合にどの国で解決するかを定める項目です。日本側で対応できる内容になっているかが重要なポイントです。
これらは取引の前提となる部分であり、見落とすとそのまま不利な条件で契約が進んでしまう可能性があります。
記載された条項がそのまま契約内容として適用される
たとえ契約書の内容が、口頭やメールで事前にやり取りしていた内容と異なっていても、最終的には書面の記載内容が優先されてしまうケースが一般的です。
そのため、違和感のある条項や認識と異なる内容があれば、内容を正しく把握することが重要です。
中国語で契約締結する際の表現と注意点

契約内容の確認後、修正や確認の依頼が必要になった場合、あいまいな表現を避け、どの部分をどのように修正したいのかをはっきり示すことが重要です。
内容確認や修正のフレーズ例
・A产品单价150日元不对,应该写250日元,请修改。
A chǎnpǐn dānjià 150 rìyuán bú duì, yīnggāi xiě 250 rìyuán, qǐng xiūgǎi
(A製品の単価150円は250円の間違いです。修正をお願いします。)
・我们约定的付款条件是出货前100%付款,但合同写的是出货后90天付款,请修改。
wǒmen yuēdìng de fùkuǎn tiáojiàn shì chūhuò qián 100% fùkuǎn, dàn hétóng xiě de shì chūhuò hòu 90 tiān fùkuǎn, qǐng xiūgǎi
(御社との支払条件は出荷前100%前払いですが、契約書は出荷後90日の後払いになっています。修正をお願いします。)
・合同写的14天交货期无法对应,这是定制产品,请改为30天。
hétóng xiě de 14 tiān jiāohuò qī wúfǎ duìyìng, zhè shì dìngzhì chǎnpǐn, qǐng gǎi wéi 30 tiān
(契約書記載の14日納期では対応できません。受注生産品のため、30日に変更をお願いします。)
このように、シンプルでもよいので意図が伝わる表現を使うことが大切です。
締結前の最終確認は必ず行う
契約書や注文書は、サインや押印を行った時点で正式な契約として扱われます。
記載内容はそのまま契約条件として適用されるため、違和感のある点や認識と異なる内容があれば、必ず締結前に修正対応を行う必要があります。
中国語の契約における法務確認の重要性と注意点

契約内容の確認や修正を行ったうえで、最終的には法務面でのチェックも重要になります。中国語の契約は内容によってリスクが大きく変わるため、自己判断だけで進めないことが大切です。
不利な契約条件を防ぐために法務確認が必要
契約書には、支払い条件や責任範囲、紛争解決など、法的な意味を持つ条項が多く含まれています。内容を正しく理解しているつもりでも、不利な条件になっている場合があるため注意が必要です。
特に、紛争解決の条項では相手国の裁判所が指定されていることもあり、そのまま締結すると対応が難しくなる可能性があります。このようなリスクを防ぐためにも、必要に応じて法務部門や専門担当に確認を行うことが重要です。
自己判断で進めず必ず確認を行う
中国語の契約書が読めたとしても、内容の解釈やリスクの判断まですべて自分で行うのは難しい場面があります。
特に重要な契約や条件に不安がある場合は、一人で抱え込まず、社内の関係部署や法務担当に確認し判断を仰ぐことがトラブルを防ぐポイントになります。
まとめ
今回は、中国語の契約について、基本用語から契約書の構成、確認すべき条項、締結時の表現や注意点までを実務の流れに沿ってまとめました。
この中で特に重要なのは、以下の4つです。
- 基本用語を押さえ、契約書の内容を正しく理解する
- 契約書の構成を把握し、どこに何が書かれているかをつかむ
- 価格・支払い条件・納期など重要な条項を優先して確認する
- 違和感のある内容は修正を依頼し、サイン前に最終確認を行う
まずはこれら4つを意識して、実際の契約書や注文書を見てみてください。「どこを確認すればよいか」が分かるだけでも、対応の負担は大きく変わります。

