外国語を学習する中で、もっともハードルが高いと感じる瞬間。それは「電話」ではないでしょうか。
対面での会話なら、相手の表情やジェスチャーから「なんとなく」意味を汲み取ることができます。しかし、電話は相手の顔が見えず、頼れるのは自分の「耳」だけ。ノイズや電波状況も重なり、ある意味で「本物の言語レベル」が試される過酷なシチュエーションです。
この記事では、中国語学習者ならだれもが持つ電話への恐怖を自信に変えるための必須フレーズと、円滑なコミュニケーションの秘訣を徹底解説します。
中国語学習でなぜ電話が重要なのか?

「電話は怖いから、なるべくWeChatの文字チャットで済ませたい……」と思うかもしれません。しかし、中国文化において電話(あるいはボイスメッセージ)を使いこなすことは、関係を深めるための「避けて通れない道」です。
中国人は「スピード感」と「声」を重視する
中国のビジネスや日常会話では、文字を打つ手間を省き、ボイスメッセージ(语音)を送り合ったり、パッと電話をかけたりすることが非常に多いです。
私も以前、電話で勢いよく話されて理解できなかったため、「(辞書で調べたいから)WeChatで送って」とお願いしたところ、文字ではなくボイスメッセージが届いたことがあります。彼らにとって、声は文字よりも感情が伝わりやすく、信頼関係が築きやすいツールなのです。
電話をスムーズにこなせれば、現地の友人や取引先から「この人は本当に中国語ができるな」と一目置かれ、距離はグッと縮まります。電話をマスターすること、それは中国語コミュニケーションの頂点に立つことでもあるのです。
中国語の電話で絶対使う基本フレーズ

まずは、電話の第一声から確認しましょう。ここが自然なら、その後の会話もスムーズに運びます。
「喂(wéi)」のマスターが第一歩
日本語の「もしもし」にあたるのが「喂(wéi)」です。
辞書では第4声(wèi)と表記されることが多いですが、電話の「もしもし」として使う際は、第2声(wéi)で語尾を上げるのが一般的です。
覚えておきたい基本フレーズ
最初に言うべきフレーズを叩きこんでおけば、スムーズに会話を始めることができます。見なくても言えるくらい耳に刷り込んでおきましょう。
- 喂,你好
(Wéi, nǐ hǎo)
もしもし、こんにちは。 - 你是哪位?
(Nǐ shì nǎ wèi?)
どちら様でしょうか?(丁寧な聞き方) - 我找~
(Wǒ zhǎo…)
~さんをお願いします。 - 稍等一下
(Shāo děng yíxià)
少々お待ちください。
ビジネスで差がつく電話対応術
仕事での電話は、スピード感と正確さが求められます。定型文を覚えておくだけで、焦りは一気に解消されます。
相手を呼び出す・取り次ぐ
- 请问,~在吗?
(Qǐngwèn, …zài ma?)
すみませんが、~さんはおられますか? - 我就是。
(Wǒ jiùshì.)
私ですが。(本人が出た場合)
担当者が不在の場合
- 他现在不在。
(Tā xiànzài búzài.)
彼は今、席を外しております。 - 他正在接电话。
(Tā zhèngzài jiē diànhuà.)
彼は今、他の電話に出ています。 - 要不要留言?
(Yào búyào liúyán?)
伝言を承りましょうか?
折り返しを約束する
- 请他回来后给我打个电话。
(Qǐng tā huílái hòu gěi wǒ dǎ ge diànhuà.)
戻りましたら、私に電話をくれるよう伝えてください。 - 他回来后让他给你打电话吧。
(Tā huílái hòu ràng tā gěi nǐ dǎ diànhuà ba.)
彼が戻ったら、あなたに電話するようにさせますね。
もし聞き取れなかったら?焦りを解消する魔法のひと言
電話口で一番怖いのは「沈黙」です。パニックにならないためのフレーズを用意しておきましょう。
丁寧に聞き返す
- 不好意思,请再说一遍。
(Bù hǎoyìsi, qǐng zài shuō yíbiàn.)
申し訳ありません、もう一度おっしゃっていただけますか? - 请说得慢一点,可以吗?
(Qǐng shuō de màn yìdiǎn, kěyǐ ma?)
もう少しゆっくり話していただけますか?
物理的な問題を伝える
- 信号不好。
(Xìnhào bù hǎo.)
電波(電波状況)が悪いです。 - 听不清楚。
(Tīng bù qīngchu.)
はっきり聞こえません。
どうしても理解できない時は、「我加你的微信吧 (Wǒ jiā nǐ de wēixìn ba.):あなたのWeChatを追加しますね。」と言って、WeChatでのやり取りに切り替えるのも現代中国ビジネスの立派な戦略です。
リスニング力と瞬発力を上げるための3ステップ
電話に強くなるには、特有の「耳」と「瞬発力」を鍛える必要があります。
自分が使う予定のフレーズを録音し、繰り返し聴きましょう。自分の声に慣れることで、本でも口が回りやすくなります。電話の場合は特に、思っているよりも口を大きく動かさないといけないことに気づくはずです。
YouTubeやTikTokをあえて画面を見ずに聴いてみてください。視覚情報がない状態で意味を汲み取る訓練は、電話のリスニング力に直結します。中国語のポッドキャストもおすすめです。
相手の言葉をすぐ繰り返す訓練は、電話口での相槌や返答スピードを劇的に上げます。また、人は自分が発音できるものしか聞き取れない、とも言われています。すぐにシャドーイングできなかった単語は、自分がまだ聞き取れない単語だということなので、その度に立ち止まって自分の単語帳に加えていきましょう。
国際電話のかけ方とデバイス設定

準備ができたら、実際に電話をかけてみましょう。コストを抑える方法と、スムーズな連絡先管理について解説します。
国際電話:固定電話なら「IP電話アプリ」が最強
通常のキャリア経由だと料金が高額になりがちです。
- おすすめアプリ:「Viber Out(バイバーアウト)」など。プリペイド式で、相手がアプリを持っていなくても格安で中国の番号へ発信できます。
- かけ方の基本:国番号「+86」を先頭につけ、相手の番号の最初の「0」を除いて入力します。
iPhone/スマホの電話帳・キーボード設定
「電話帳に漢字で名前を入れたいのに変換が出ない」というトラブルを防ぐ設定です。
- 中国語キーボードの追加:
- iPhone:「設定」→「一般」→「キーボード」から「中国語(簡体字)- ピンイン」を追加。
- Android:「設定」→「言語と入力」から同様に追加。
漢字で登録しつつ、「姓」のフリガナ欄にピンイン(アルファベット)を入力しておきましょう。電話帳内で検索しやすくなるだけでなく、Siriなどの音声アシスタントの認識精度も上がります。
まとめ
中国語の電話は確かに勇気がいります。しかし、「喂(wéi)」の一言から始まり、聞き取れない時に「もう一度」と堂々と言えるようになれば、もう初心者卒業です。
- 基本の「喂(wéi)」をマスターする
- ビジネスフレーズを「カンペ」として手元に置く
- 聞き取れない時は「WeChat切り替え」も活用する
まずは、中国の友人にボイスメッセージを送ることから始めてみませんか?その一歩が、あなたの中国語を劇的に進化させるはずです。

