中国語で「あの世」は何と言う?『十六夜膳房』で覚える中国語

中国語で「あの世」は何と言う?『十六夜膳房』で覚える中国語

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2026年10月12日から日本テレビ系で放送が始まったドラマ『十六夜膳房』(原作:毛無/日本語版:ポプラ社)には、普段の中国語学習ではあまり目にしない言葉が数多く登場します。

物語の舞台となるのは、黄泉の世界にある食堂。原作が中国で連載されたときのシリーズ名は「地狱膳房」でした。死者に最後の一皿を振る舞うという物語だけに、死後の世界にまつわる中国語が作品を理解するうえで重要になります。

日本語では、生きている人が暮らす世界を「この世」、亡くなった後の世界を「あの世」と表します。では、中国語ではどのように表現するのでしょうか。

この記事では、中国語の「この世」と「あの世」にあたる言葉から、『十六夜膳房』をきっかけに覚えたい死後の世界、料理や食べものにまつわる中国語まで紹介します。中国語はすべて簡体字とピンインを併記しているので、作品を楽しみながら語彙を増やしてみてください。

目次

この記事の3行まとめ(AI要約)

  • 中国語で「あの世」に近い言葉は阴间(yīnjiān)、「この世」は阳间(yángjiān)で、陰陽の「阴」「阳」が対になっている。
  • 死後の世界の言葉には忘川・孟婆・孟婆汤・地狱などがあり、中国語の鬼(guǐ)は日本の「鬼」ではなく幽霊を指す。
  • 料理の語彙は面(麺)・汤(スープ)・馄饨(ワンタン)など、漢字を分解して覚えると応用しやすい。作品名は十六夜膳房(Shíliù yè Shànfáng)と読む。

阴间・阳间という考え方

中国語で「あの世」に近い意味を持つ言葉のひとつが、阴间(yīnjiān)です。死者がいるとされる世界を指し、日本語では「あの世」「冥界」などと訳されます。

一方、生きている人が暮らす世界を表すのが阳间(yángjiān)です。日本語の「この世」「人間界」に近い意味を持っています。

つまり、阴间(yīnjiān)=死者の世界、阳间(yángjiān)=生者の世界という対になっています。

中国語を勉強していると、一つの単語に一つの日本語訳を当てはめて覚えたくなります。しかし、阴间を単純に「あの世」とだけ覚えてしまうと、本来の言葉が持っているイメージをつかみにくくなります。

ポイントになるのが、「阴(yīn)」と「阳(yáng)」です。

この二つの漢字は、阴阳(yīnyáng)という言葉にも使われています。日本語でも「陰陽」という言葉があるため、見覚えがある方も多いでしょう。中国では古くから、陰と陽を対になるものとして捉える考え方があります。

そのため、阴间だけを単独で覚えるよりも、阳间とセットにすると意味を理解しやすくなります。

中国語の語彙を覚えるときには、反対の意味を持つ言葉を組み合わせる方法もあります。

大(dà)と小(xiǎo)、上(shàng)と下(xià)、生(shēng)と死(sǐ)のように、対になる言葉を一緒に覚える方法です。阴间と阳间も、同じように二つを並べることで世界の分かれ方までイメージできます。

死後の世界にまつわる語彙

『十六夜膳房』の世界を知ると、中国の死後の世界にまつわる言葉がいくつも出てきます。

こうした言葉は日常会話で頻繁に使うものではありませんが、中国の小説やドラマ、古くから伝わる物語に触れると目にすることがあります。

ここでは、作品をきっかけに覚えておきたい代表的な言葉を見ていきましょう。

忘川(Wàngchuān)

忘川(Wàngchuān)は、中国の死後の世界を語る際に登場する川です。後世の物語では、この川に奈何桥(Nàihé qiáo)という橋が架かり、そのたもとに孟婆がいると語られることがあります。

日本には死者が渡るとされる「三途の川」がありますが、中国にも死後の世界と川を結びつける伝承があります。ただし、忘川と三途の川がまったく同じものというわけではありません。それぞれ異なる文化や伝承の中で語られてきたものなので、「中国版の三途の川」はイメージをつかむための表現として考えるのがよいでしょう。

孟婆(Mèngpó)

『十六夜膳房』を知るうえで欠かせない言葉のひとつが、孟婆(Mèngpó)です。ドラマでは、中村蒼さんが演じる主人公の料理人の名前にもなっています。

孟婆は、中国の死後の世界にまつわる伝承に登場する存在です。亡くなった人が次の生へ向かう前に関わる存在として知られています。

さらに、孟婆と一緒に覚えておきたいのが孟婆汤(Mèngpó tāng)です。

汤(tāng)は中国語で「スープ」「汁物」を意味します。孟婆汤は、死者が前世の記憶を忘れるために飲むものとして語られています。孟婆と孟婆汤の伝承については、孟婆湯とは?中国の死後の世界と『十六夜膳房』の元ネタを解説で詳しく紹介しています。

『十六夜膳房』では「食」が物語の重要な要素になっています。そのため、死後の世界を表す言葉と食にまつわる言葉が自然につながっている点も、この作品ならではの面白さです。

地狱(dìyù)

地狱(dìyù)は、日本語の「地獄」にあたる中国語です。

『十六夜膳房』の原作が連載されたときのシリーズ名も、地狱膳房(Dìyù Shànfáng)でした。

中国語を学ぶ日本人にとって、こうした単語は漢字から意味を推測しやすいというメリットがあります。一方で、意味が分かるために発音を覚えないまま読み進めてしまいやすい点はデメリットです。

たとえば、地狱を見てすぐに「地獄」と理解できても、dìyùという音まで一緒に覚えているとは限りません。同じことは、来世(láishì)、轮回(lúnhuí)、鬼(guǐ)といった言葉にもいえます。

なかでも注意したいのが鬼(guǐ)です。中国語の鬼は、主に「幽霊」「亡霊」など死者の霊を指す言葉で、日本の昔話に出てくる角の生えた「鬼」とはイメージが異なります。漢字が同じだからこそ、意味の違いまで確認しておきたい言葉です。

料理・食べものの語彙

『十六夜膳房』は死後の世界を舞台にした物語ですが、もうひとつの大きな軸になっているのが「食」です。

作品にはさまざまな料理が登場します。中国料理の名前は一見すると難しそうですが、料理名を構成している漢字を分解すると、ほかの場面でも使える基本的な中国語が見つかります。

面(miàn)|麺

面(miàn)は「麺」を表します。

たとえば、中国語では牛肉面(niúròumiàn)なら「牛肉麺」、炸酱面(zhájiàngmiàn)なら「ジャージャー麺」です。

料理名を丸ごと一つの単語として暗記するよりも、「面が入っているから麺料理だ」と考えられるようになると、初めて見る料理名でも内容を推測しやすくなります。

汤(tāng)|スープ

汤(tāng)は「スープ」「汁物」を表す言葉です。

先ほど紹介した孟婆汤にも、この汤が使われています。

日常的な料理でも、鸡蛋汤(jīdàntāng)は卵のスープ、酸辣汤(suānlàtāng)は酸味と辛味のあるスープを指します。

馄饨(húntun)・苹果(píngguǒ)|著者が語った「最後の一皿」

著者の毛無さんは、医学部時代にICUで患者の最期に立ち会った経験から本作が生まれたと語っています。そのとき人々が最後に食べたいと願ったのは、高級料理ではなく、ワンタンや甘酸っぱいりんごのような、思い出と結びついた食べものだったそうです。

ワンタンは中国語で馄饨(húntun)、りんごは苹果(píngguǒ)です。どちらも中国の日常でよく使う言葉なので、作品の原点とあわせて覚えておくと記憶に残りやすいでしょう。

料理に関する中国語なら、吃(chī)は「食べる」、味道(wèidao)は「味・風味」、肉(ròu)は「肉」といった基本語彙もあります。

作品に出てきた料理名をすべて暗記する必要はありません。まずは何度も登場する漢字や、自分が実際に使えそうな言葉から拾っていくほうが、無理なく語彙を増やせます。

作品タイトルの読み方

『十六夜膳房』は、中国語では十六夜膳房(Shíliù yè Shànfáng)と読みます。

日本語では「十六夜」を「いざよい」と読みますが、中国語では日本語と同じ読み方にはなりません。

それぞれ分けてみると、十六(shíliù)=16、夜(yè)=夜、膳房(shànfáng)=食事を作る場所となります。

膳房の「膳」は、日本語の「お膳」と同じく食事や料理を表す字です。膳房はもともと、宮廷などで食事を用意した厨房を指す言葉で、現代の日常会話で「台所」を表すなら厨房(chúfáng)のほうが一般的です。少し古風で格式のある響きが、作品の世界観にも合っています。

日本語の「十六夜」という言葉には独特の読み方と文化的な響きがあります。そのため、日本語タイトルだけを見ると、最初から一つの熟語のように感じるかもしれません。

一方、中国語では十六(shíliù)と夜(yè)に分けて考えると、発音も意味もつかみやすくなります。ちなみに、旧暦16日を表す古い言葉には既望(jìwàng)があり、蘇軾の『赤壁赋』の冒頭にも「七月既望」として登場します。

十六夜膳房のような作品タイトルも、日本語の意味だけで終わらせず、中国語ではどう読むのかまで確認すると、一つのタイトルから複数の単語を覚えられます。

単語まとめ表

最後に、ここまで紹介した言葉をまとめます。

簡体字ピンイン日本語の意味
阴间yīnjiān死者の世界、あの世
阳间yángjiān生者の世界、この世
阴阳yīnyáng陰陽
忘川Wàngchuān死後の世界に流れるとされる川
孟婆Mèngpó中国の死後の世界の伝承に登場する存在
孟婆汤Mèngpó tāng死者が前世の記憶を忘れるために飲むとされるスープ
地狱dìyù地獄
来世láishì来世
轮回lúnhuí輪廻
鬼guǐ幽霊、亡霊(日本の「鬼」とは異なる)
面miàn麺
汤tāngスープ、汁物
馄饨húntunワンタン
苹果píngguǒりんご
膳房shànfáng食事を作る場所、(宮廷などの)厨房
十六夜膳房Shíliù yè Shànfáng『十六夜膳房』

中国語の単語帳だけを使って勉強していると、阴间や忘川のような言葉を覚える機会は多くないかもしれません。しかし、小説やドラマをきっかけにすると、言葉が登場した場面や物語の雰囲気と一緒に記憶できます。

すべての単語を覚えようとする必要はありません。気になった言葉を一つ調べ、そこから関連する言葉へ少しずつ広げていくことも、中国語の語彙を増やす方法のひとつです。

『十六夜膳房』で覚える中国語に関するよくある質問

中国語で「あの世」と「この世」は何と言いますか?

「あの世」に近い言葉は阴间(yīnjiān)、「この世」は阳间(yángjiān)です。陰陽の「阴(yīn)」と「阳(yáng)」が対になっているので、二つをセットで覚えると理解しやすくなります。

孟婆汤とは何ですか?

中国の伝承で、死者が生まれ変わる前に前世の記憶を忘れるために飲むとされるスープです。中国語では孟婆汤(Mèngpó tāng)と書き、汤(tāng)は「スープ」「汁物」を意味します。日本語では「孟婆湯」と表記されます。

『十六夜膳房』は中国語で何と読みますか?

中国語では十六夜膳房(Shíliù yè Shànfáng)と読みます。十六(shíliù)は16、夜(yè)は夜、膳房(shànfáng)は食事を用意する厨房を表します。日本語の「いざよい」のような特別な読み方はありません。

中国語の「鬼」は日本語の「鬼」と同じ意味ですか?

同じではありません。中国語の鬼(guǐ)は、主に「幽霊」「亡霊」など死者の霊を指します。日本の昔話に登場する、角の生えた「鬼」とはイメージが異なるので注意が必要です。

中国語で「麺」や「スープ」は何と言いますか?

「麺」は面(miàn)、「スープ」は汤(tāng)です。牛肉面(niúròumiàn:牛肉麺)や酸辣汤(suānlàtāng:酸辣湯)のように料理名にもよく使われるので、この字を覚えておくと初めて見るメニューでも内容を推測しやすくなります。

まとめ

中国語で「あの世」に近い言葉のひとつが阴间(yīnjiān)で、生者が暮らす「この世」は阳间(yángjiān)と表します。『十六夜膳房』には、忘川(Wàngchuān)や孟婆(Mèngpó)、地狱(dìyù)など、中国の死後の世界を知るきっかけになる言葉が登場します。物語を楽しみながら意味やピンインまで確認すると、単語だけを暗記するのとは違った形で、中国語とその背景にある文化への理解を深められます。

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suinai 中国語学習ライター・広告業界勤務 / Chinese Learning Writer & Marketing Professional
上海留学と北京の大学院進学を経て中国語を学んだライター。10年以上の学習経験と実体験をもとに、中国語学習や中国文化に関する情報を発信している。
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