中国安徽省の黄山は、日本でも「黄山を見ずして、山を見たと言うなかれ」という言葉で知られる名山。蓮花峰、光明頂、天都峰の3つの主峰の他にも69の峰があり、雲海の中に険しい峰が立ち現れる様子は、一度目にしたら忘れられません。そんな中国の名だたる絶景を、現地でぜひ堪能してみましょう。
この記事の3行まとめ(AI要約)
- 黄山は1990年にユネスコの複合遺産に登録された安徽省の名山で、世界ジオパークや生物圏保護区にも登録され、中国国内でも最高級の5A級観光地に認定されている。
- 奇松・怪石・雲海・温泉が「黄山四絶」として知られ、雲海に浮かぶ峰と日の出が絶景。迎客松や光明頂、蓮花峰、西海大峡谷など見どころが黄山風景区に集中している。
- ロープウェイが3路線あるため体力に自信がなくても高所まで登れる。周辺には九華山や世界遺産の宏村・西逓、花山謎窟などもあり、ベストシーズンは春(4〜5月)と秋(10〜11月)となる。
世界遺産に登録

1990年、黄山はユネスコの世界遺産に登録されました。自然遺産と文化遺産の複合遺産としての登録でした。また2004年にはユネスコの「世界ジオパーク」、2018年にはユネスコの「生物圏保護区」(人間と生物圏計画)にも登録されています。中国国内でも2007年に中国の観光地の評価としては最高級の5A級観光地に認定されました。
絶景の宝庫

黄山を形作っている花崗岩の岩山は1億年ほど前の中生代に形成されました。その後、氷河や風雨による浸食が続き、現在のような独特の景観となりました。その岩山に海から流れ込んだ湿った空気が当たることで、大量の霧や雲が生じ、幻想的な風景が生み出されています。
雲海に包まれた時の黄山は、山頂が天空の島のように浮かび、まさに絶景。とくに早朝は日の出も見られ、印象に残ります。ただし天候に恵まれる必要があるため、登頂前には天気予報を入念にチェックしましょう。
その絶景ゆえに、多くの詩や山水画が黄山の風景を描いてきました。とりわけ黄山で観られる奇松、怪石、雲海、温泉が「黄山四絶」として知られています。
魅力的なのは、ロープウェイが3路線あるため、体力がなくても高い地点まで登れることです。
黄山の代表的な観光スポット
黄山にまつわる名所は「黄山風景区(黄山风景区 huángshān fēngjǐngqū)」に集中しています。黄山風景区は「温泉」「玉屏」「白雲」「北海」「松谷」「雲谷」の6つのエリアに分かれています。ロープウェイは雲谷、玉屏、太平の3路線です。
黄山の周辺にも仏教の聖地や素朴で趣のある古鎮やミステリー好きの興味をそそる岩窟など、見所が数多くあります。
黄山風景区内

迎客松(迎客松 yíngkèsōng)
玉屏エリアにある、黄山のシンボルとも言える名木。樹齢は800年以上とされ、まるで訪れる人を出迎えるように枝を伸ばしているため、「客を迎える松」と命名されました。記念撮影の定番スポットでもあります。彼方の峰には客を送る松とされる「送客松」もあります。
光明頂(光明顶 guāngmíngdǐng)
海抜1860メートルの、黄山で2番目に高い峰で、天都峰、蓮花峰と共に、「黄山三大主峰」と呼ばれています。黄山の中心部に位置し、ここからは天都峰、蓮花峰、玉屏峰を含む無数の峰々を一望できます。平坦な地形なので、日の出や夕陽、雲海などを眺めるのにも最適です。
「光明頂」の名の由来には諸説あり、高く広々としていて陽の当たる時間が長いから、という説と、ある日僧侶がここで修行をしていると、空から光明が差し込み、菩薩様が現れたから、という説などがあります。明の時代に普門和尚がこの峰に大悲院を建立しましたが、現在その跡地は黄山気象観測所となっています。
蓮花峰(莲花峰 liánhuāfēng)
黄山の最高峰で高さは海抜1864.8メートル。主峰を小さな峰が取り囲む様子が蓮の花のようだとして名付けられました。登頂には少し困難が伴いますが、天気が良ければ山頂から西に廬山、北に九華山や長江が望めます。ただ近年は自然環境の保護のため、定期的に閉鎖されており、登頂には事前確認が必要です。
始信峰(始信峰 shǐxìnfēng)
海抜は1683メートル。珍しい形の岩や松が多数見られ、黄山の松を鑑賞するには絶好のスポットです。冬の雪景色も美しく、とくに日の出の景色に定評があります。
西海大峡谷(西海大峡谷 xīhǎidàxiágǔ)
黄山風景区の西部にあり、白雲渓という渓流が一帯を流れていることから、別名、白雲谷(白云谷 báiyúngǔ)とも呼ばれています。美しい雲海が見られることで知られ、石柱峰、薄刀峰、丹霞峰などの険しい峰や断崖が次々と現れます。松林峰、飛来石などの絶景地点にも恵まれていますが、険しい道が多く、面積も25平方キロに及ぶため、踏破にはかなりの体力が必要です。
黄山温泉(黄山温泉 huángshān wēnquán)
黄山の山麓にある温泉地区で、登山後の疲れを癒すのに最適です。古代の皇帝、黄帝もここで入浴したという伝説があるほど歴史の古い温泉です。消化を促し、心血管や神経系の症状に効き目があるとされています。日本の温泉と違い、水着着用での利用が原則なので、水着を忘れずに携帯しましょう。
黄山市黄山風景区温泉景区小補橋南紫石峰南麓
余裕があれば巡りたい、黄山周辺の名所

九華山(九华山 jiǔhuáshān)
黄山から北西へ80キロほどの地点にある地蔵菩薩信仰の総本山。唐代にここで修行した新羅(朝鮮半島南東部にあった国)の王子、金喬覚が実は地蔵菩薩の化身だったという伝説から、聖山とされるようになりました。漢代は陵陽山、南朝時代には九子山と呼ばれていましたが、唐代の詩仙李白が自作の詩の中で「霊山は九華を開く」と詠ったため、九華山に名が改まったと伝わっています。陶淵明や蘇東坡をはじめとする多くの著名な詩人や画家が、この山を作品にしました。最盛期の明清代には360以上の寺に4000から5000人の僧侶がいました。今も90を超える寺院が開放されています。
池州市青陽県
宏村(宏村 hóngcūn)
黄山の西南麓にある古鎮。歴史は12世紀の南宋時代に遡ります。村全体がウシの形をしており、牛の胃の部分には月沼、腹の部分には南湖と呼ばれる人工池があります。池に民家が映る様子はとても幻想的です。池や水路は風水を考慮しつつも生活用水を家々に運ぶ実用的役割も果たしています。明清期の民家140棟を含む歴史的な建築や景観がよく保存され、その美しさはまさに「絵の中の村」。画学生たちの写生スポットとしても人気です。
黟県宏村鎮
西逓(西递 xīdì)
宏村から南へ22キロほどの位置にあり、宏村とともに世界文化遺産に登録されている古村です。その歴史は北宋時代に遡り、今も明清期に建てられた民家300余棟の内、124棟が完全な形で保存されています。村全体が舟形をしており、白壁に黒い瓦のコントラストがとても美しい村落です。火事の延焼を防ぐため、せり出した形に建てられた「馬頭墻」なども景観を変化に富んだものにしています。
黟県西逓鎮
花山謎窟風景区(花山谜窟风景区 huāshān míkū fēngjǐngqū)
黄山からはだいぶ離れていますが、黄山市の市街地から10キロほどの位置にある、面積も謎の深さも中国で最大の石窟群です。2000年に偶然発見され、しかも1700年以上前から存在していたことが判明すると、大きな反響を呼びました。36の人工的に開削された石窟が発見されており、その一部が一般開放されています。石窟内には水路や地下宮殿や回廊があり、深さ176メートル、面積12,000平米に及ぶ窟もあります。たいへん趣向の凝らされた構造であるにもかかわらず、発掘時期や目的などは未だに解明されておらず、その名の通り今も「謎の洞窟」のままです。最近は観光客向けにライトアップや映像、花火などを使った華やかな演出が行われており、評判を呼んでいます。
黄山市屯渓区
モデルコース

1泊2日の標準コース
1日目
黄山東部の雲谷エリアから雲谷ロープウェイで白鵝嶺に登る
始信峰を散策し、奇松を鑑賞した後、北海エリアへ移動して光明頂へ
西海大峡谷を体力に応じて散策した後、山頂で宿泊
2日目
丹霞峰または光明頂で日の出を鑑賞
さらに飛来石などを眺めた後、
玉屏エリアへ移動し、黄山を代表する見どころである迎客松を鑑賞
夕方、玉屏ロープウェイで下山し、麓の温泉エリアで疲れを癒す
黄山観光のベストシーズン
ベストシーズンは春(4〜5月)と秋(10〜11月)です。
冬は雪景色も美しいですが防寒対策が必要です。
まとめ
中国安徽省の黄山は中国の著名な詩人や画家にも愛されてきた名山で、蓮花峰・光明頂・天都峰など72峰を有します。1990年にユネスコの世界遺産に登録されました。奇松、怪石、雲海、温泉の「黄山四絶」が特徴で、雲海と日の出が絶景です。山登りが苦手な人でも、3路線のロープウェイで気軽に登頂できるので、ぜひ気軽に訪れてみましょう。


