中国語を学ぼうと考えたとき、多くの人が最初に感じる疑問があります。
それが「簡体字と繁体字って何が違うの?」「どちらを覚えればいいの?」というものです。
日本語にも漢字があるため、中国語は親しみやすそうに見える一方で、実際に学び始めると文字の違いに戸惑う学習者は少なくありません。
CC LESSONチャンネル【基礎から学ぶ中国語 Mia先生 #2】では、中国語学習を始める前にぜひ知っておきたい「簡体字と繁体字の違い」について、わかりやすく丁寧に解説されています。
本記事では、その動画内容をもとに、文字・発音・単語の違いという3つのポイントから、中国語の基礎知識を深掘りしていきます!
中国語には2種類の文字体系がある

中国語には、大きく分けて簡体字と繁体字の2種類の文字体系が存在します。
まず押さえておきたいのは、国や地域によって使われる字体が異なるという点です。
| 簡体字が使われている地域 | 中国本土、シンガポール、マレーシア など |
| 繁体字が使われている地域 | 台湾、香港、マカオ など |
もともと中国では、何千年にもわたる長い歴史の中で、現在「繁体字」と呼ばれている伝統的な漢字が使われてきました。
意味を視覚的に理解しやすい一方で、複雑で正確に読み書きできない人も多く、教育の普及を妨げる要因の一つとされていました。
そこで、より多くの人が短期間で読み書きできるようにすることを目的として、漢字の簡略化が進められました。
この政策により、1950年代に簡体字が正式な文字体系として制定され、学校教育や新聞、公式文書などで広く使われるようになりました。
地域ごとに異なる文字体系が使われるという状況は世界的に見ても珍しく、中国語学習者が最初に戸惑いやすいポイントの一つでもあると覚えておきましょう。
「字体」が大きく異なる

簡体字と繁体字の最もわかりやすい違いは、文字の形そのものです。
簡体字は画数が少なく、全体的にシンプルで書きやすいのが大きな特徴です。
一方、繁体字は古くから使われてきた漢字の形をそのまま残しているため、画数が多く、複雑に見えるものが多くあります。
例1) 飛行機
| 簡体字 | 「飞机」 |
| 繁体字 | 「飛機」 |
簡体字の「飞机」を初めて見ると、「飛ぶ机?」と不思議に感じる人もいるかもしれません。
一方、繁体字の「飛機」は、日本語の「飛行機」と非常に近い形をしているため、意味が直感的に理解しやすいのではないでしょうか。
例2)学校
| 簡体字 | 「学校」 |
| 繁体字 | 「學校」 |
簡体字の「学校」は、日本語とほぼ同じ形で、違和感なく読めるでしょう。
しかし、繁体字の「學校」では、「學」の字が一気に複雑になり、初学者にとっては難しく感じられるかもしれません。
例3)豊富
| 簡体字 | 「丰富」 |
| 繁体字 | 「豐富」 |
これらの例からもわかるように、簡体字と繁体字では細かな部分が大きく異なりますが、意味自体は共通しています。
実は、日本語で使われている漢字は、簡体字と繁体字の両方の影響を受けて成立しています。
そのため、文字によっては簡体字と日本語が同じ形になっている場合も多く、中国語学習者にとって親しみやすい字も少なくありません。
一般的に、繁体字を理解できる人は簡体字を読むのが比較的簡単だといわれています。
繁体字は情報量が多く、構造が保たれているため、簡略化された形である簡体字への変換がしやすいのです。
一方で、簡体字しか知らない状態から繁体字を読むのは難しいと感じる学習者も多いようです。
ただ、部首や構成要素がしっかり残っているため、「なぜこの字がこの意味を持つのか」を考えながら学ぶことができ、漢字文化そのものを深く味わえる点が大きな魅力といえるでしょう。
「発音」はほとんど変わらない
「文字が違うということは、発音も違うのでは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
漢字の形が大きく異なるため、簡体字と繁体字では読み方も変わるように感じますが、実際には発音はほぼ同じです。
先ほど紹介した簡体字と繁体字の例を、発音とあわせて見てみましょう。
| 簡体字 | 繁体字 | 発音 |
| 「飞机」 | 「飛機」 | フェイジー/fēijī |
| 「学校」 | 「學校」 | シュエシャオ/xuéxiào |
| 「丰富」 | 「豐富」 | フェンフー/fēngfù |
このように、文字の形が簡略化されていても、あるいは伝統的な形を保っていても、発音そのものは共通しています。
つまり、簡体字と繁体字の違いは主に「見た目の違い」であり、発音体系が別になっているわけではありません。
もちろん、地域によっては声調や発音の細かなニュアンスに違いが出ることもありますが、初心者の段階ではほとんど気にする必要はないでしょう。
まずは「簡体字と繁体字は、文字が違っても同じ読み方をする」という基本をしっかり押さえておくことが大切です。
この点を理解しておくと、「文字が違うから発音も覚え直さなければならないのでは?」という不安がなくなり、中国語学習をより安心して進められるようになりますよ。
台湾華語の発音の特徴
台湾で話されている中国語は「台湾華語」と呼ばれています。
基本的な文法や語彙は中国本土で使われている標準中国語と共通していますが、発音面ではいくつかの特徴的な違いがあります。
その代表的な特徴が、巻き舌音が少ないという点です。
中国本土の発音に慣れている学習者にとっては、台湾華語は最初は少し聞き取りにくく感じることもあります。
一方で、中国語学習を始めたばかりの人にとっては、発音が柔らかく、耳に入りやすいと感じられることも多く、「台湾華語のほうが発音を習得しやすい」といった声もあるそうですよ。
このように、台湾華語と標準中国語の違いは「正しい・間違っている」というものではなく、地域による発音の違いに過ぎません。
台湾華語の発音の特徴を知っておくことで、リスニングの際の戸惑いを減らし、中国語学習をよりスムーズに進められるようになるでしょう。
同じ意味でも使われる「単語」が違う

3つ目の大きな違いは、同じ意味であっても、使われる単語や表現が異なるという点です。
台湾と中国では、日常会話の中で言い回しが異なるケースが数多く見られます。
文字や発音が共通していても、実際の会話では地域ごとの表現の違いが現れるのです。
中でも特にわかりやすい朝と夜の挨拶表現を比較してみましょう。
朝の挨拶「おはようございます」の違い
| 中国 | 「早上好(ザオシャンハオ /zǎoshang hǎo)」 |
| 台湾 | 「早安(ザォアン/zǎo ān)」 |
中国では「早上好」が一般的に使われるのに対し、台湾ではより簡潔な「早安」が日常的な挨拶として定着しています。
夜の挨拶「こんばんは」の違い
| 中国 | 「晚上好(ワンシャンハオ/wǎnshàng hǎo)」 |
| 台湾 | 「晩安(ワンアン(wǎn’ān)」 |
台湾では「晚安」は、夜の挨拶として幅広く使われており、日本語の「こんばんは」や「おやすみなさい」に近いニュアンスを持つ表現です。
Mia先生によると、CCレッスンでは台湾人講師が挨拶として「おはよう」に「早安(ザォアン/zǎo ān)」を使うと、生徒が「え???」と戸惑うこともあるそうです。
こうした場面では、その都度、中国と台湾での表現の違いを説明しながらレッスンを進めているとのことでした。
こうした違いを理解しておくことで、中国語学習の中で生じやすい混乱を防げるだけでなく、言葉の奥にある文化や地域性の違いに触れる楽しさも味わえるようになります。
簡体字と繁体字、どちらを学ぶべき?

簡体字と繁体字のどちらを学ぶべきか迷った場合は、自分が中国語をどのような場面で使いたいのかという目的を基準に考えるのがおすすめです。
| 簡体字 | 中国関連の仕事に就きたい方や、中国本土への旅行を楽しみたい方 |
| 繁体字 | 台湾・香港・マカオへの旅行や仕事を希望している方 |
台湾の人々は正式に簡体字を学んでいなくても、SNSやインターネット、メディアの影響により、簡体字をある程度読み取れるケースが多いといわれています。
そのため、どちらの文字体系を選んだとしても、将来的に大きな支障が出ることは少ないでしょう。
大切なのは「どちらが正解か」ではなく、自分の目的や興味に合った中国語を選ぶことです。
自分に合った学び方を選ぶことで、中国語学習をより楽しく、長く続けることができるはずです。
まとめ
【基礎から学ぶ中国語 Mia先生 #2】の動画内容をもとに、簡体字・繁体字・台湾華語の違いについて詳しく解説してきました。
文字の形、発音、単語表現という3つの視点から整理することで、中国語学習の全体像がより明確になったのではないでしょうか。
中国語学習で大切なのは、「簡体字と繁体字のどちらが正しいか」を考えることではなく、自分が中国語をどんな場面で使いたいのかを意識することです。
目的に合った学び方を選ぶことで、学習はより楽しく、継続しやすいものになります。
CCレッスンでは、こうした文字や発音、地域ごとの表現の違いについても、実際の会話を通してわかりやすく学ぶことができます。
「中国語、ちょっと気になるかも」と思った今が始めどきです。
ぜひこの機会に、CCレッスンで中国語の世界に一歩踏み出してみてください。

