中国語の「把字句(bǎ zì jù)」は、初級〜中級学習者がもっともつまずく文法のひとつです。教科書では「目的語を前に出す構文」と説明されますが、いざ自分で文章を作ろうとすると、なかなか思うようにいかない方も多いはずです。
本記事では、CC LESSONチャンネルの解説動画をベースに、把字句の基本イメージから3つの成立条件、命令形での使い方まで、例文と拼音付きで徹底解説します。
HSK3〜4級レベルで把字句に苦戦している方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
- 把字句(bǎ zì jù)は、「目的語をどう処置したか」を表す中国語特有の構文で、「処置句」とも呼ばれる。
- 基本構造は「主語+把+目的語+動詞+補語/了」で、成立には「処置動詞」「補語・了」「確定的な目的語」の3条件が必要。
- 命令文では「把+目的語+動詞+了/補語」の形が頻出し、強い指示や処理のニュアンスを表せる。
「把字句」とは?処置句のイメージで覚える
「把字句(bǎ zì jù)」には実は別名があり、「处置句(chǔzhì jù)」とも呼ばれます。
つまり把字句は「主語が目的語に何かをする・処置する」というイメージを持つ構文です。この「処置」の感覚をつかむことが、把字句マスターへの第一歩となります。
単に「目的語を前に出す」と覚えるよりも、「対象を操作・処理する」というニュアンスをイメージしたほうが、ネイティブの感覚に近づけます。
把字句の基本構造を例文で押さえる

まずは「把(bǎ)」が文の中でどう並ぶのかを確認していきましょう。
主語+把+目的語+動詞の語順を覚える
把字句の基本構造はとてもシンプルです。
主語+把+目的語+動詞+補語/了
例:我把这本书看完了。
拼音:wǒ bǎ zhè běn shū kàn wán le.
意味:私はこの本を読み終えました。
「我」が主語、「把」はそのまま、「这本书」が目的語、「看」が動詞、「完了」が補語と「了」の組み合わせです。把の意味は基本的に日本語の助詞「を」と覚えれば問題ありません。
書き言葉では「把」を「将」に置き換える
ちなみに書き言葉では、「把」を「将(jiāng)」に変えることが多くあります。
例:我将这本书看完了。
拼音:wǒ jiāng zhè běn shū kàn wán le.
意味:私はこの本を読み終えました。
意味はまったく一緒です。フォーマルな文章やビジネスメールで把字句を使うときは、「将」のほうが文体に合うので覚えておきましょう。
なぜ「把字句」を使うのか|SVOとの違い
「把(bǎ)」を使わずに、普通の語順で表現することもできます。
皆さんがよく使う文型は主語+動詞+目的語(SVO)でしょう。先ほどの例文を普通の語順にすると、次のようになります。
例:我看完了这本书。
拼音:wǒ kàn wán le zhè běn shū.
意味:私はこの本を読み終えました。
日本語訳は同じですが、ニュアンスが違います。把字句は目的語を強調する役割を持ち、目的語を把の直後に置くことで、その対象に焦点を当てます。
「これをこう処置した」と相手に伝えたいときは把字句、ただ事実を述べたいときは普通のSVO、と使い分けてください。
「把字句」が成立する3つの条件

ここからが本記事のいちばん重要なパートです。「把字句(bǎ-zì-jù)」は自由に作れるわけではなく、3つの条件をすべて満たす必要があります。
1つでも欠けると非文になってしまうので、しっかり押さえてください。
①他動詞かつ「処置」の意味を持つ動詞を使う
把字句の動詞は、他動詞でなおかつ「処置・支配」のニュアンスを持つ言葉でなくてはなりません。
処置の意味がない動詞は把字句に使えません。代表的なNG動詞は次の通りです。
- 是(shì):〜である
- 有(yǒu):〜がある
- 在(zài):〜にいる/ある
- 像(xiàng):〜に似ている
これらは状態や存在を表すだけで「対象を処置する」要素がないため、把字句では使えないと覚えておきましょう。
②動詞の後ろに必ず他の成分を置く
把字句では動詞単独の使用は不可です。動詞の後ろには結果補語や「了」「一下」などの成分が必須となります。
NG例:我把这本书看。(補語がなく不可)
OK例:我把这本书看完了。
拼音:wǒ bǎ zhè běn shū kàn wán le.
意味:私はこの本を読み終えました。
「動詞だけで終わらせない」のが鉄則です。「完」「了」「一下」など、何かしら動詞を補強する成分を必ずセットで置いてください。
③目的語は通常「確定的」
3つ目の条件は、把の後ろに置く目的語が話し手と聞き手の間で特定できる「確定的なもの」である必要がある、というルールです。
NG例:我把一本书看完了。(一般的には不自然)
OK例:我把这本书看完了。
「一本书(yì běn shū)」は「ある1冊の本」という不特定の対象なので、原則として把字句では使いません。「这本书(zhè běn shū)」のように「この本」と特定できる目的語を選ぶのが基本です。
ただし日常会話では「一本书」も使われる場面があります。客観的に「ある本を読み終えた」と述べたいときなど、文脈次第で柔軟に判断してください。
3条件をクリアできたら、把字句の土台は完成です。
命令形でも「把字句」はよく使われる
もう1つ、ぜひ覚えてほしいのが命令形での把字句です。日常会話で頻出するパターンなので、押さえておくと聞き取り・発話の両方で役立ちます。
命令形の構造は次の通りです。
把+目的語+動詞+了/補語(主語は省略)
例:把面包吃了。
拼音:bǎ miànbāo chī le.
意味:パンを食べてしまいなさい。
例:把房间打扫一下。
拼音:bǎ fángjiān dǎsǎo yí xià.
意味:部屋をちょっと掃除して。
命令形で把字句を使うと語気が強くなり、「指示に従うしかない」という強い処置のニュアンスが出ます。親が子どもに、上司が部下に何かを指示する場面でよく耳にする言い回しです。
最後につまずき易いポイントをチェック!

把字句で学習者がよくつまずくポイントを、最後にもう一度整理しておきます。
- 動詞に「是・有・在・像」を選んでしまう → 処置の意味がないので使えない
- 動詞だけで文を終わらせてしまう → 必ず補語・「了」・「一下」などをセットに
- 目的語に「一本书」など不特定のものを置いてしまう → 原則「这本书」など確定的な対象を使う
- 書き言葉で「把」をそのまま使ってしまう → フォーマル文では「将」に置き換える
このチェックリストを意識するだけで、把字句の作文ミスはぐっと減ります。
最初は文を作るたびに3条件を頭の中で確認するクセをつけて、少しずつ無意識でも作れるようにしていきましょう!
まとめ
最後に、本記事で押さえたポイントを整理します。
- 「把字句」は目的語を処置するイメージを持つ構文(別名:処置句)
- 基本構造は主語+把+目的語+動詞+補語/了。書き言葉は「把」→「将」
- 成立条件は①処置動詞/②動詞+補語/了/③確定目的語の3つ
- 命令形でも頻出(把+目的語+動詞+了/補語)
把字句は中国語学習の山場ですが、ルールを構造化して覚えればコントロール可能な文法です。今日からの作文や会話で、ぜひ「処置のイメージ」を意識して使ってみてください。

