中国語の会話に対して、言い方がぶっきらぼうに聞こえたり、声が大きくて強い印象を受けたりして、聞き取れない言葉が多いというイメージを持っていませんか。
日本語とは感覚が違いそうで、「自分はしっかり勉強できるのだろうか」と不安になる人もいるかもしれません。
実はその違和感は、中国語の言葉の使われ方や考え方が日本語と異なることによって生まれています。
この記事では、中国語の表現や語彙、文化、方言といった視点から、中国語の言葉の特徴と日本語とは違うと感じる理由を整理します。
こうした前提を知っておくことで、中国語に対する学習の不安も少し軽くなります。
中国語の表現が日本語と違うと感じる理由

中国語の言葉に違和感を覚える理由はいくつかありますが、まず押さえておきたいのが表現の考え方です。
日本語と同じ感覚で捉えると戸惑いやすいため、ここでは中国語の表現がどのように使われているのかを見ていきます。
中国語は「誰に言うか」より「何を伝えるか」が重視されやすい
日本語では、相手との関係性によって敬語や丁寧語を使い分けますが、中国語では伝えたい内容をはっきり示すほうが良いとされる傾向があります。
参考例(レストランで注文したい時)
日本語:すみません、注文してもよろしいでしょうか。
中国語:我要点菜(Wǒ yào diǎn cài 注文します)
※ぶっきらぼうですが、目的をはっきり伝えることがスムーズなコミュニケーションにつながります。
丁寧さは文法で示すというより、前置きの言葉や語彙の選び方、話し方の雰囲気によって調整されるため、日本語と同じ基準で判断すると違和感を感じるかもしれません。
日本語と違い、音がつながって聞こえてしまう
中国語は音が途切れず連続して発音されるため、最初は聞き取りにくいと感じることがあります。
意味が分からないまま音だけが印象に残ることがあるため、聞こえた音をカタカナで捉え、「この言葉は何だろう」と調べたくなってしまいます。
たとえば、「メイヨー」と聞こえる音は、「没有(méi yǒu/ない、持っていない)」だったりします。
ここまで見てきたように、中国語の表現は日本語とは異なる考え方で使われています。
中国語は場面に応じた語彙が用意されている
中国語を学び始めると、同じ意味を表しているはずなのに、別の言い方がいくつも出てくるように感じることがあります。
ここでは、中国語の語彙が使われる場面や意図に応じて整理されている、という考え方をもとに、その理由を紹介していきます。
話し言葉と書き言葉で使われる表現が異なる
日本語でも日常会話と文章で言い回しが変わるように、中国語でも話し言葉と書き言葉では使われる表現が異なります。
会話では短く分かりやすい言い方が使われ、文章や改まった場面では、少し硬い表現が自然と選ばれます。そのため、同じ意味を伝えていても別の語彙が使われているように見え、言い回しが増えたように感じられます。
ニュアンスや状況に応じて言葉が選ばれる
日本語では一つの言葉で多くの場面に対応できますが、中国語では場面や状況に応じて、同じ意味でも異なる言葉が選ばれることがよくあります。こうした考え方を知っておくと、語彙が多く感じられる理由も理解しやすくなります。
中国語の言葉と文化の関係

中国語の言葉づかいは、人間関係や面子、集団意識といった文化的な考え方と強く結びついています。
丁寧さを文法で示す日本語とは異なり、中国語では言葉の選び方や前置きによって、相手との距離感や配慮を調整する場面が多く見られます。
あいさつや定型表現の多さが関係している
中国語では、あいさつや決まった言い回しが多く使われます。
「こんにちは」にあたる表現も、你好(nǐ hǎo)だけでなく、上午好(shàng wǔ hǎo)・中午好(zhōng wǔ hǎo)・下午好(xià wǔ hǎo)のように時間帯に応じて使い分けられます。
これは形式を重視しているというより、相手との距離感や場の雰囲気を言葉で整えようとする文化があるためです。前置きの表現を通して、円滑な関係を築こうとしています。
言葉づかいに考え方の違いが見える
中国では、人間関係の中での立場や面子をはっきりさせることが、集団の中で誤解を生まないための配慮につながると考えられる場面があります。そのため、曖昧さを残すよりも、状況に合った言葉を選んではっきり伝える言い方が選ばれやすくなります。
こうした考え方も、日本語とは違った言葉づかいとして表れ、違和感を覚える理由の一つになっています。
中国語には地域ごとに異なる方言が多く存在する
中国語と聞くと一つの言語を想像しがちですが、実際には地域ごとに大きな違いがあります。
中国には共通語として普通话(pǔ tōng huà)と呼ばれる標準語が存在する一方で、各地域ではそれぞれ地域性の強い方言が今も日常的に使われています。
標準語があっても地域差が大きい
中国では学校教育や公的な場面で標準語が使われますが、家庭や地元のコミュニティでは方言が優先されることも珍しくありません。広東語や上海語をはじめ、地方ごとの言葉は発音や語彙、リズムが大きく異なり、標準語とは別の言語のように感じられることもあります。
筆者も、過去に方言からくる発音の違いに困ったことがありました。
筆者:我要四个(wǒ yào sì gè 4個ほしいです)
店員:十个???(shí gè 10個???)
上海の街中で肉まんを4個買おうとしたときの話です。
発音の問題なのか周囲の雑音の問題なのか、それとも方言の影響だったかは分かりませんが、何度も聞き返されました…。伝わりにくいこともあるなと実感しました。
中国人同士でも通じないことがある
こうした地域差の影響で、中国人同士であっても方言では意思疎通が難しい場面があります。
北京出身の人が広州を訪れ、広東語がまったく分からないというのも珍しい話ではありません。
こうした地域差を知っておくことで、「中国語が難しい」「言葉が複雑に感じる」という印象も、中国語ならではの面白さとして捉えることができるのではないでしょうか。
中国語の言葉に慣れていくための習慣

今まで紹介してきたように、中国語の言葉の伝え方には中国語ならではの習慣があります。
日本語の感覚のまま使おうとすると、言いすぎたり、逆に言葉足らずに感じられたりすることがあり、何が正解か分かりにくいと感じることもよくあります。
まずは、こうした違いは習慣や使われる場面によるものだと知っておくことが大切です。
最初に戸惑うのは自然なこと
中国語を学び始めたばかりの頃は、「この言い方で失礼ではないか」「もっと丁寧に言うべきか」と迷う場面が多くあります。また、日本語では空気を読むことで省かれる表現も、中国語では言葉として示したほうがよい場面があります。
これは言葉の使い方の習慣による違いであり、こうした前提を知っておくだけでも、学習中の違和感は受け止めやすくなります。
独学では判断しにくいポイントがある
中国語は、文法や単語の知識だけあれば使いこなせるというわけではありません。
使われる場面や相手との関係によって、適切な表現が変わることも多く、独学では判断に迷いやすいポイントがあります。
実際のやり取りや相手の反応を通して、この表現が伝わりやすいな、こう表現するんだな、というポイントをを少しずつ理解していくことで、違和感も徐々に整理されていきます。
まとめ
この記事では、中国語の言葉が日本語と違って感じられる理由について、表現の考え方や語彙の使い分け、文化、方言、習慣といった視点から整理しました。
中国語に戸惑いを覚える場面は少なくありませんが、その多くは能力の問題ではなく、言葉が使われる前提や考え方の違いによるものです。
こうした背景を知ったうえで中国語に触れていくことで、聞き取れなかった言葉や強く感じた表現も、少しずつ受け止めやすくなっていくはずです。

